戦後の日本の潜水艦教育は、昭和29年に米海軍に訓練隊を派遣したことに
始まると言う。そして翌年に米国から潜水艦一隻の貸与を受け、横須賀に術
科学校が開校された。
この艦はその後、海上自衛隊の潜水艦「くろしお」として凡そ15年余り活躍し、
3600回以上の潜航実績を残し、昭和45年アメリカに返還された後解体された。
ここ呉の潜水艦訓練センター基地内には「おやしお型」と「そうりゅう型」
それぞれの訓練施設が独立して設けられている。
当日は「そうりゆう型潜航訓練講堂」に案内されたが、内部での撮影は極秘扱
いの深度計などが映り込むことは禁止されていたので、写真を撮ることを極力
控えた結果が、この唯一の一枚である。
これは「潜航操縦訓練装置(D/T)」と言い、潜入、浮上等の模擬体験が出
来る装置である。建物とは独立して切り離されていて、操舵により装置が忠実
に動作するのだそうだ。
定員15名の内部にはステップから乗り込むことになる。
内部の三面の壁には、モニター、計器、スイッチ、ハンドル、レバー、コッ
クなどが立錐の余地もないほどに並べられ、それらを結ぶ配管や配線が縦横に
張り巡らされている。それらは手探りでも操作ができるように、敢えて異なっ
た形状を取り入れていると言う。
訓練では、触った感触を身体にたたき込むのだそうだ。
「おやしお型潜航訓練講堂」にも同じような装置が有り、訓練生達はここで
両型潜水艦の内部の様子と疑似動作を体験する中で「相互信頼と団結心を育み、
過酷な任務遂行に耐えうる心身を鍛練」するのだと言う。(続)
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