簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
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食べたまま、書いてます。

首夏・馬市(東海道歩き旅・三河の国)

2022-03-04 | Weblog


 衣浦豊田道路を横断歩道橋で越えると、そこは「並木八丁」と呼ばれ
る池鯉鮒宿の東の外れで、見事な松並木が残されていた。
公園風に整備された松並木の緑地には遊歩道が延び、至る所にモニュメ
ントや案内板が飾られている。
この道は「新日本歩く道百選」に選ばれ「宿場散歩道」を構成する一部
となっている。



 つい近年までこの付近には1㎞に及ぶ松並が残されていたらしいが、
住宅の建設などで今では450m程に半減してしまった。
追い打ちをかけたのが伊勢湾台風で、多くの大木が根こそぎなぎ倒され
てしまったそうだ。
その後若木などを補植し、ようやく今日の姿に甦ったと言う。



 「かきつばた 名に八ツ橋のなつかしく 
         蝶つばめ 馬市たてしあととめて」(麦人)

 丁度この辺りが引馬野と呼ばれる地らしい。
広重の「池鯉鮒 首夏馬市」で描かれた、馬市の場所に当り「馬市の碑」
と「馬市の句碑」も立っている。



 首夏というのは、初夏のことだ。
丁度その頃に当る毎年4月の末から5月初めにかけ、ここでは馬市が開か
れていて、遠くは甲斐の国や信濃の国などから、数百頭の馬が集められ、
取引されていたという。
この側道を持つ松並木は、馬を繋ぎ、留め置く為でもあったようだ。



 馬市が開かれると、「駅中大いに賑わい、諸品の市店をかざりて、近
国より馬方馬長集まること多し」「四方より馬を出し うり買いする也」
と言われるほどの賑わいを見せたようだ。
それを目当てに、「処方より傾城多く集まり、市立ての人契る」有様で、
中にはすっかり遊女に入れ込んで、折角手にした売買の代金をなくす者
もいたそうだ。(続)





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