簾 満月「バスの助手席」

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女人堂(四国遍路の旅・高野山編)

2015-12-28 | Weblog
 高野山にはここをめぐる山々に結界が引かれ、女性は誰一人立ち入ること
のできない女人禁制の山であった。
そのため各入り口には参拝に訪れる女性のための女人堂が建てられていた。
現在唯一残るのが、ここ不動坂口の「女人堂」である。



 『平安時代には長谷寺や石山寺といった霊場が女性の参詣者を集めてい
た。当然、高野山にも登りたいという者も出てきただろう。
そうした要望と女人禁制との一種の折衷案が女人堂であり、女人道であっ
た。』(「高野山と空海」 渋谷甲博 2015年1月 洋泉社)



 高野山の女人禁制は、寺院が立ち並ぶ山上の盆地が、僧たちの修行の
妨げになるから禁止されていたが、大師さんの膝元の「奥の院」に参詣す
ることは出来たようだ。
したがってここから遥拝するためだけに「女人堂」が作られていたわけでは
ないらしい。



 当時は、「外八葉」の尾根や峠を上り下りしながら、七口に建っていた「女
人堂」と「奥の院」を結ぶ「女人道」と言う参詣道が整備されていた。
 「女人堂」で飽き足らない女性たちは、息を切らしながら「女人道」を巡り、
時折木立の隙間から垣間見る伽藍に向かい、首を延ばし、手を合わせてい
たと言う。



 この日訪れた「女人堂」には、すでに夕闇が迫っていた。
うっそうと茂る木立を背後にして建つ堂宇は、もっと小さなものかと思ってい
たが、以外に大きな建物である。
それもそのはず、ここは女性たちが宿泊もできた参籠所であったのだ。



 線香の煙が燻る中、あたたかな法灯に照らされた大日如来が、凛とした
佇まいで今でも参詣の者を分け隔てなく出迎えている。(続)




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