簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

知立の大あんまき(東海道歩き旅・三河の国)

2022-03-09 | Weblog


 知立名物と言えば、鸚鵡返しに「大あんまき」と答えたくなる。
江戸の頃からこの辺りでは麦の栽培が盛んで、その小麦粉を溶いて延ば
して焼き、それに畑で取れた小豆で作った塩あんを乗せ、二つ折りにし
て食べていたのが始まりだという。
後には、知立神社の参拝客の休憩時のお茶請けや土産として出していた。



 今ではバリエーションも豊富で、黒あん、白あんから、カスタード、
栗あん、抹茶あんなど多彩で、若い人向けなのか、衣を付けて油で揚げ
たものまで出ている。
しかし、食べるなら、やはり昔ながらの黒あん、白あんが一番良い。



 「大あんまき」には、思い出もある。
遠い記憶で、もう消えかかる程微かなものだが、昔親父の自転車の荷台
に乗せられ、名古屋市内からここ迄来て、食べさせて貰ったことがある。

 途中どこであったのか、多分国道辺りだと思うが、広い砂利道に大き
な看板が有り、「大あんまき」の絵が描かれていたのが衝撃で、その残
像が今も僅かに残っている。



 最もそれは、もしかしたらその時ここで見た記憶ではなくて、その後の
両親による思い出話が擦り込まれたものかも知れない。
或は後年車で何度も訪れたので、その記憶と混同しているのかも知れない。
何れにしても知立に来れば、条件反射的に「大あんまき」の事を思い出す。



 近頃では、東海道線豊橋駅の改札口近くに出店も有り、時間にも依る
が手に入る。
旅行の折、この駅で下車する機会でもあれば入手が楽しみになっている。

 幼い頃擦り込まれた記憶は、いつまで経っても忘れることがない。
大人になっても「大あんまき」は、思い出の味である事に変わりない。(続)





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