「弁柄」製造で巨万の富を得た豪商達が、今日の「赤い集落 吹屋の
町並」を作り上げた。
長者達は、石州(今の島根県)から宮大工を招き、競い合うように良材
を惜しげも無く使い、贅を尽くした上に、町並の統一感をコンセプトに
大邸宅を次々に建てていった。
今日吹屋の町並に残された家屋はどれも豪壮な造りで、多くが平入り
や妻入り、切り妻二階造りの建物だ。屋根は赤銅色の石州瓦葺で、壁や
塀は弁柄を練り込んだ漆喰壁で仕上げられ、表戸に面した腰高格子や出
格子等は弁柄で赤く塗り染められた。
今日に残るこれらは、江戸末期から明治にかけて建てられたものだ。
吹屋観光のメインは、数百メートルに及ぶ「赤い町並」である。
電柱が地中化され、余り広くはない通りには、こうして造られた妻入り
と平入りの二階屋に軒の低い家屋が入り交じり、不統一な家並みがかえ
って独特な景観を醸し出している。
赤い家並みに混じり、所々の白漆喰壁や海鼠壁の土蔵などがアクセント
となって映えている。
通りにある市の地域局や郵便局等も一様にベンガラ塗りの町屋造りだ。
アンティーク店、カフェや土産処に混じり、オリジナルのお土産造りの
体験が出来る工房等も何軒かある。弁柄の絵の具を使い型紙でやる型染
めや、弁柄液に浸す泥染めの体験などができる。
地域に有る「ベンガラ館」は、明治時代のベンガラ工場をモデルにして、
復元された資料館だ。
内部では、繁栄を極めた当時の町の様子や、ベンガラの四つの製造工程
を見ることが出来る。
観光には、「吹屋ふるさと村周遊券(1000円)」が便利である。
有料施設である旧片山家住宅、郷土館、ベンガラ館、笹畝坑道、広兼邸
がこのチケットで入館できる。(続)
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