簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
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食べたまま、書いてます。

湯谷温泉(JR乗り潰しの旅・飯田線)

2021-01-22 | Weblog


 長篠城辺りから車窓右側に宇連川が寄り添うと、始発から1時間半程で
湯谷温泉だ。温泉の歴史は古く、開湯は1300年ほど前と伝えられている。
周囲には鳳来寺山もあり、宇連川は鳳来峡と呼ばれる景勝を見せる地で、
10軒ほどの温泉旅館がある。



 駅からは左手に温泉街が望まれる。この地は今から半世紀以上も前の、
入社して間もない頃、会社の慰安旅行で訪れた懐かしい地である。
記憶が薄らいでいて、殆ど何も覚えては居ないが、宴会の後下駄を引き
ずりながら粋がって泊まり客で賑わう温泉街を歩いた記憶がある。

 しかし、車窓から見る限りでは、歓楽な温泉街とはとても思えない。
今は、駅前も随分と寂れた様子だ。



 この先では宇連川と周囲の緑の景観が車窓を慰めてくれる。
琥珀色の岩盤の上を滑るような透明な流れは、所々で細かな白波を立て、
奇岩を避け、時に小さな滝と成り、早瀬と成り、藍色の深い淵と成って
様々な変化を見せながら下っている。
川底がまるで板を敷いた様に見える事から「板敷川」の別名を持っている。



 豊橋駅を10時42分に発車したこの普通列車は、終着の岡谷駅には17時
33分に到着する。
久々に乗る飯田線の列車で、今回は辰野まで途中下車無しを予定している。
その間398分、およそ6時間半に及ぶ鈍行列車の旅である。
豊橋の駅では、駅弁と飲みもの、それにおやつ等を購入し車内に持ち込み
長期戦に備えている。 



 この列車は所々で、長時間の停車が設定されている。
本長篠では17分停まった。この先も飯田や伊那大島、駒ヶ根では8分間、
そのほかにも2~3分程度の停車を度々繰り返す。
従って長時間乗車とは言え息抜きは出来るし、何よりも車窓を流れる景
色は充分に疲れを癒やし、退屈を吹き飛ばしてくれる。
何回乗っても、わくわくするローカル線である。(続)



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