二十代の頃は、会社の正月休みを利用してよく旅に出た。
それも一泊や二泊の旅ではなく、一週間十日をかけて各地を巡る旅である。
そんなとき役の立ったのが、当時の国鉄の長距離列車や夜行列車であった。
昭和44年正月五日、九州で九泊目の朝を長崎ユースホステルで迎えた後、
長崎発10時14分「急行・いなさ2号」に乗車、博多に13時22分着いた。
今なら同じ経路を行く「特急・かもめ」なら2時間ほどの所要である。
そこから山陽本線を走る「夜行急行・つくし51号」で大阪まで戻ってきた。
博多発16時2分、主要な駅々に停車しながら大阪到着が翌朝の4時30分である。
急行とは言え、1時間と経たない内に次の駅に停まるので、恐らくその都度目
が覚めてとても熟睡など出来る雰囲気では無かったと思うが、それでも座席
は確保出来ていたので救われた。
当時多くの急行列車には座席指定車がなかった。
スキーや盆暮れの帰省など混雑時ともなると座席を確保するため始発駅のコン
コースに早い時間から並んで待ったものであるが、それを解消してくれたのが
「発駅着席券」である。
始発駅の窓口で目的の列車の券を50円で購入すれば、後は発車の30分くらい
前までに行けば良いから長時間駅で並ぶ必要がない。
改札が始まれば、ビニール袋に入ったその券を胸につけて乗車することになる。
正月を迎え歳を重ねると、どういう訳か昔の出来事が懐かしく思い出され
てくる。名古屋に住んでいた事、こうして九州や東北、四国を一周した当時
の出来事が・・・。そしてこんな些細な事が鮮明に蘇ってくる。(続)
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