ところがそんな苦労をして探し当てた宿であったが、宿泊当日、避けられぬ用が
でき旅行を取り止め、早朝宿泊先にキャンセルの電話を入れた。
覚悟はしていたものの、キャンセル料が発生するとのことで、後日振込用紙が送ら
れてきて、泣く泣く泊りもしない宿泊料金を丸々全額振り込んだ。
規定でうたわれており、納得して宿泊予約をした以上仕方がないことではあるが、
なんとも惜しくて仕様がない。
考えてみれば穴をあけてしまった埋め合わせならやむを得ないが、もしも当日飛び
込みで、この部屋が泊り客で埋まったとしたら・・宿は一人分丸儲けではないのか。
ならば、泊りが無かった場合に限りのキャンセル料発生と言う「忖度」は出来ない
ものだろうかなどと思ってしまう。
今回の街道歩きでも湯本での泊りの必要があり、随分と時間をかけて安い宿を探して
きたが、さすがにこの宿に予約の電話を入れることには生理的にも嫌悪感が拭えず出来
なかった。
探す時間と労力を思えば、最速ではあるが、こんな宿には二度と関わりたくはない。
一日中歩き続けてきてその日の宿が、街道から大きく外れていて、更に何分も歩く
なんてことはどうしても避けたい。
歩き旅では、街道からはさほど外れていない、これが一番の条件である。
そんなことで探してみると、色々注文を付けなければ安い宿は有るものだ。
今回の宿は、箱根登山鉄道の湯本駅のすぐ裏にある「野天風呂 足湯 かっぱ天国」
である。街道からも左程離れず、食事は湯本駅前の商店街を利用すれば事足りる。
お世辞にも綺麗で立派な宿とは言えないが、源泉かけ流しの立ち寄り湯を併設している
だけで充分である。(続)
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