2001年発行の東野圭吾の小説。
大学時代にアメリカンフットボール部で活躍した、
チームメイトが登場人物の中心で、
そこからジェンダー問題へ広がって行く。
スポーツ物は好きなので読みやすかった。
ジェンダーの問題は一言で言えないし、
私が思っている以上に多様性があるのだと思った。
性別を男女2種類に分けるのはナンセンスなのかもしれない。
性別だけではなく、何かを区別して考えるのは、
考え方自体が違うのかもしれないなぁ。と感じた。
帝都大学アメフト部のチームメイトは、
毎年11月の第3金曜日に集まっていた。
13回目の会合の後、クォーターバックだった西浦哲郎は、
須貝と一緒に帰る途中で女子マネージャーだった日浦美月に会う。
ここから物語は始まる。
驚く事に美月は男性になっていた。哲郎は須貝と共に
美月を自宅に連れて行く。
哲郎はマネージャーだった理沙子と結婚していた。
美月が男性の姿になった事だけでも驚くのだが、
さらに美月は殺人を犯したことを告白する。
刑務所に入れば男性として生きて行く事はできなくなり、
せっかく男性になったのに、女性に戻ってしまう。
3人は美月を匿い逃亡させる事にする。
美月が殺した男は、美月がバーテンとして働いていたクラブの
ホステスにストーカーとして付きまとっていた客だった。
しつこく付け回す男を結果的に殺してしまったのだが、
翌日、死体が発見される。
美月は男性として働いていたので女性である事はバレていない。
逃げるためには女性の姿に戻った方が良い・・・。
結局、男性として生きる事は出来ないのか?
中盤からストーリーは単純ではなくなる。
美月のような身体と心が別な人間は少なからず存在し、
性転換手術をするかどうかは別として、
ホルモン投与をし、外見を変え、戸籍とは別の性別として、
生活している。そして・・・・
同じような人間と入れ替わり、別の戸籍の人物に
なりすましている人間がいる事がわかってくる。
平和に生活している人々の秘密を暴露してしまう事が、
良い事なのか? まぁ別の戸籍に成りすますのは、
犯罪になるのだろうから、いけないんだろうけど。
そっとしておいて欲しい秘密を抱えた人々と、
友人が関係している事を知って行くことで、
秘密を暴き、傷つけてしまうのか。
戸籍の入れ替わりなどは良くないけれどだ、
こういう事に思い悩んでいる人が少なからずいる事、
そういう人々が生きて行くのに相当に悩み、
苦労している事がわかる。
私も受け入れはするけれど、
受け入れられない人も多いだろうし、
社会的に難しいのだろうと思う。
昨今、スポーツ界でもトランスジェンダーは、
どのカテゴリーに出場するのか、問題になっている。
トランスジェンダーである事を公表しているのは、
勇気ある行動だと思うが、競技に出場する事は・・・
公正さを欠く事になるし、トランスジェンダーの部と言う、
カテゴリーを作るべきなのか?
すっごい難しい・・・・。
タイトルが片思いであるので、
そのあたりの心の動きも読みどころではある。
なお、2017年にドラマ化されている。
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