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解説 総合索引
弾道ミサイルを大気圏内で迎撃する能力を持つ、発達型ペトリオット
防空システム。 米国が配備を進める、弾道ミサイル防衛、
終末段階(大気圏内)における迎撃を担当する。.
PAC-3システムの開発は1983年に着手、ミサイルは新規開発され、
爆風・破片弾頭を搭載するマルチモード・ペトリオットと、運動エネルギー
を利用するERINT(エリント:Extended Range Interceptor
延長射程迎撃体)の競争試作でERINTが選ばれ、2000年に
初期低率量産を開始した。なお、ミサイル本体以外は、
従来型ペトリオット防空システムを改良して利用する。
PAC-3システムの開発は3段階に分けて進められ、
それぞれをConfiguration(コンフィギュレーション:構成)1・2・3と呼ぶ。
Configuration1 1995年配備開始
レーダー処理装置、ECS(射撃管制装置)・ICC(情報調整装置)など
戦闘管理、指揮・統制、通信機能の改良。
ミサイル本体はPAC-2またはPAC-2GEMを使用する。
Configuration2 1996年配備開始
目標探知・識別能力の向上。
対レーダー・ミサイル対処能力向上。
Link16データ通信装置の追加。
Configuration3 2000年配備開始
レーダーの進行波管を2基装備して、探知距離を延ばし、
角度分解性能を向上させた。
弾道ミサイル発射地点を特定可能に。
新型PAC-3ミサイルも使用可能となる。
発射機は最大30km離して設置可能。
PAC-3ミサイルは、目標に体当たりして破壊するhit-to-kill方式を
採用している。従来型ペトリオット・ミサイルに比べ、全長は5.2mと
ほぼ同じだが、弾体直径は0.25mと細身で、重量もおよそ4分の1の
315kgとなっている。このため従来型ペトリオット・コンテナー1基に、
4発のPAC-3ミサイルを収納、対処できる目標数も増える。ただし、
ロケット・モーターも細身になるため、射程は20kmと従来型の3分の1
以下となる。
PAC‐3ミサイルの構造は大きく6つ部分により構成される。
先端はレドームで、Kaバンド(35GHz帯)アクティブ・パルス・ドップラー
・レーダー・シーカーを内蔵する。この後方は180個の小型固体推進剤
ロケット・モーターを搭載する姿勢制御用サイド・スラスターで、ミサイルの
機動性を向上させる。この後ろは、INS(慣性航法装置)や、自動操縦装置
などを内蔵する誘導部分となっている。
誘導部分後方は、航空機や巡航ミサイルへの殺傷力を強化する、
225gのタングステン・ペレット24個を放出するリーサリティ・エンハンサー
(殺傷力強化装置)を内蔵する。この後部は固体推進剤ロケット・モーターで
外側に4枚の安定翼が取り付けられる。最後部にはロケット・ノズルと
飛行制御装置を内蔵、外側に4枚の操舵翼を装着する。
発射されたPAC-3ミサイルは事前に指示されたコースを飛行、必要に
応じて射撃管制装置ECSから飛行コースの修正指令を受ける。
目標に接近すると、アクティブ・レーダー・シーカーを作動させ目標を
捕捉する。
レーダー・シーカーは、リーサリティ・エンハンサー放出時期を決定する
近接信管の役割も兼ねており、ミサイルの運動エネルギーだけでなく、
タングステン・ペレットを放出して航空機や巡航ミサイルの迎撃確率を高める。
PAC-3システムは、既にペトリオット防空システムを採用している国も、
弾道ミサイル防衛用として導入を検討しており、日本も導入を決定している。
PAC-3の改良は現在も進行中で、ロケット・モーターの直径を25.5cm
から27.9cmに大径化、安定翼も大型化し、射程を最大50パーセント増大、機動性も改良したPAC-3 MSE(Missile Segment Enhancement:
ミサイル部分強化)は、米、独、伊共同開発中のMEADS
(Medium Extended Air Defense System:中間拡張防空システム)の
ミサイルとしても使用される予定だ。また、米軍では、F-15C戦闘機に
搭載する空中発射型や、イージス艦に搭載する海上配備型も
検討されている。
2007年6月16日 改訂
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※PAC-3(パック・スリーと読む) Patoriot Advanced Capabilityの
資料は、サイト管理者の御高配と御許可により、ブログを御高覧頂いて
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上げますがお礼を申し上げます。
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