本澤二郎の「日本の風景」(4768)

<人間が人間を殺す猿以下の社会>袖ヶ浦市レポート1

 人間は真実を突き付けられると、大いにうろたえ、時には発狂する。参院憲法審査会での小西洋之の猿発言に対して、自民党や公明党・維新・国民民主党がわめいた。続いて右派の新聞がそれを煽った。今の永田町は猿以下の劇場であろうと識者は判断している。

 それは国会や官邸・霞が関の世界に限らない。猿は猿を殺すということを聞かない。ボス猿の争いはあっても、一方が敗北を認めれば、それでおしまい。とことん追い詰めて殺すことはしない。ロシアとウクライナの戦争は悲劇を通り越している。

 人間は猿と違う。人間は人間を殺す。ゆえに古来より、賢者は人の道を説いてきた。究極的な結論は、人間から武器を奪えばいい。二度と戦争をさせないために、日本国憲法は非戦の9条を宣言し、敗戦後の占領を脱した。この非戦論を初めて世に問うた人物が日本人だった。

 9条誕生の20年前に上総の国望陀郡茅野村で生を受けた松本英子女史。本日、石匠と訪ねる。彼女は幼少のころ、父親の漢学者・松本貞樹から、中国の古典・四書五経を学んでいた。四書五経は人の道を説いたもので、今日においても光輝を放っている。

 

 人の道を踏み外した人食いザルは、地方にもいる。以下に報告したい。美しい自然に囲まれた桃源郷で暮らしてきた住民が、人食いザルに襲われて泣いている。本当のことを、地元の元区長の御園豊が資料を持参してきた。

 

<袖ヶ浦市林地区=11戸のうち7戸の家庭からガン・ポリープが発見!>

 令和2年、3年というと、2020年と2021年だ。この年に千葉県の房総半島の中央部に位置する、袖ヶ浦市林地区の高台の一角の11戸の住宅から異変が起きていた。当時、ここの区長をしていた前出の御園が気付いた。

 

 大異変である。7戸の家の住民に恐怖の癌が発生していた。よくあることでは全くない。このあたりは、現在岸田内閣の官房長官をしている安倍・清和会の松野博一選挙区のすぐ隣である。現在の千葉県知事は熊谷という自己宣伝に長けた若者だ。前任者がひどすぎたため当選した人物で、案の定、小西発言にイチャモンをつけていることが、昨日のネット情報に載っていた。

 彼の黒幕は「やくざ代議士の運転手だった石井という参院議員」と地元で有名だ。ちなみに維新を立ち上げた大阪の現市長の父親は、笹川良一のギヤンブル財団の運転手をしていた、と聞いたばかりだ。問題の統一教会との関係が噂されている。

 

 安倍晋三銃撃事件前後から流行した言葉に「頭が腐ると体全体が腐る」がある。もっともなことで、A級戦犯・岸信介の孫が政権を担うことなど想定できなかったものだから、彼の罪業についてはただただ呆れるばかりで、まさしく戦前戦後を通して史上最悪の日本国首相だった、とだれもが総括できる。

 

 林地区住民の悲劇過ぎる大異変は、そうした中で起きていた。

 

<千葉県も地元袖ヶ浦市も隠ぺいに狂奔している情けない有様>

 自公政権に支えられた首相官邸と原子力ムラという闇の組織に操られている猿軍団というよりも、猿以下の霞が関と利権を吸い取る大手町の財閥による悪政によって翻弄されている、羊の群れの日本列島と表現する識者もいる。

 

 御園区長(当時)の資料が手元にある。

 それによると、2020年2月8日に67歳の女性がガンで亡くなっている。彼女の両隣の家も、男性と女性が癌に冒されている。そこから少し離れた家の男性は、2021年に胃がんで手術し、安心していたら、今度は喉頭ガン。転移したのだろう。ほぼ2020年から2021年にかけて、周囲300メートルの地域から悪性の腫瘍が見つかって、住民を恐怖の世界に追い込んでいる。

 

 このあたりは水源地だ。飲料水は地下水を汲み上げた清水のはずだ。それがどうして?このことを袖ヶ浦市に訴えても、癌多発地区の原因を追及しない。議会も自公系から共産党までもが、ほぼ沈黙している。

 

<一変した環境=産廃業者のワコーと日高金属の進出と養鶏業者群>

 美しい森の大地は一変していた。犯人はこれだ。誰もが現地を訪れてみれば理解するだろう。近くを国道が走っている。そこにダンプが出入りできる道路が出来ている。市当局が許可したものか、国なのか?

 ダンプ道路が自然破壊の第一歩だ。自然を殺すことで暴利をむさぼる輩は、決まって人殺しもいとわない猿以下の人間だと指摘されて久しい。

 

 高度経済成長時代の現役記者のころ、房総の山を破壊して暴利をむさぼるダンプ屋に周辺の家々は震え上がった。振動・騒音・排気ガスだ。テレビも見られない。記事にすると警察が動く。しばらくすると元に戻る。当時は判らなかった。ダンプ1台にいくらとカネを吸い上げていた政治屋がいた。やくざ代議士だ。倅はいま武器弾薬の責任者である。

 

 以下に2017年2月11日のダンプ記録がある。

 当日は土曜日だ。早朝の5時58分から断続的に得体のしれない白い粉が運ばれてきて、それまでの森林は許可なしに伐採されていたのだが、そこが深くえぐり取られ、そこへと投げ込まれていた。

 騒音と埃が一帯を覆う。近くの住民は午後のダンプの出入りを時間ごとに記録していた。午後1時35分、同50分、2時30分、同50分、3時11分、同15分、同25分、同40分。

 これが2022年まで続く。2月と言えば、まだ暗い時間である。11戸の住民は、突然の騒音とホコリをもらってしまった。風の吹く日だとたまらない。人の鼻や口から吸い込み、畑の野菜からも体に入り込む、その結果が癌多発の原因であると断定できる。

 写真の記録もある。すごい量の得体のしれない物体が谷底のような場所に埋設されている映像である。住民は猛毒のアスベストだと叫んでいる。

 中国語だと「無法無天」である。この日本で、房総半島の水源地において、有毒な何かが投棄されていた。警察も小役人もそれを無視した。純朴な田舎の住民には、何をどうしてよいのか分からなかったのだろう。

 市会議員は誰もいなかったのか。結局のところ、2017年から5年間も継続されたのだ。あたりは一変してしまった。

 当初は養鶏業者が、ついでワコーテックスという産廃業者が、さらに日高金属というこれまたよくわからない業者が、山林を伐採して風光明媚な房総の山を破壊していった。人間が人間が生きる自然を破壊して、人間を殺している!

 

<国土廃れて破壊した山河ありの日本列島=孫子の悲鳴が聞こえてくる>

 日本の高度成長は何だったのか。貴重な自然を破壊することで、カネを産んできたのだろうか。

 自然豊かな東京湾を三井不動産が埋め立てて暴利を手にした。そこから房総半島は、都市建設のための土砂の採掘のため山々は崩壊していった。いまも傷跡は至る所で目撃される。

 ついでゴルフ場銀座へと変わり、いまやごみ溜めに変わっている。産廃業者は危険な有害物質を投棄して、地下水や河川を汚染して恥じない。遂にはフクシマの放射能までが埋設されている。

 それを容認するのが千葉県知事と各市町村の首長である。全体の奉仕者はいない。それでも無風の選挙区が存在する日本社会。

 自然が破壊される日本を、次の世代はどう生きるのであろうか。死の商人に乗っとられるのであろうか。

2023年4月8日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)