数年にわたって債務の利払いなどがままならず経営が実質破綻しているのに、銀行や政府によって存続している企業、いわゆる “ゾンビ企業” がコロナ禍以降、急増しています。こうした “ゾンビ企業” が25万社、倒産件数の約30倍にまで膨れ上がっていることが帝国データバンクの調査でわかりました。背景には実質無利子、無担保のゼロゼロ融資があげられ、コロナ支援策の反動が顕著になっています。

帝国データバンクが示す “ゾンビ企業” は、国際決済銀行が定める「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)」が1未満で、かつ設立10年以上」と定義する企業をいいます。

一般的には、債務の利払いすらままならず破綻状態にありながら、銀行や政府の支援によって存続している企業といえます。

帝国データによりますと、2022年度に財務データが判明している企業は10万1478社あり、このうちゾンビ企業の定義に合致するのは1万7387社です。

この数値をもとに2022年度のゾンビ企業の存在の比率を算出すると、17.1パーセントにのぼることが判明しました。

これを、帝国データバンクのデータベースの母集団として当てはめると、2022年度のゾンビ企業は全国で約25万1000社と推計され、2023年の倒産企業8497件の約30倍にのぼります。

ゾンビ企業数の推移(推計値)


2007年度以降のゾンビ企業率をみると、2019年度の10.0パーセントからコロナ禍で上昇傾向を示しています。しかも上昇率では、調査開始の2007年度以降、最も高くなっています。

ゾンビ企業率の推移

このように2022年度のゾンビ率17.1パーセントは、過去10年間で最も高く、東日本大震災後の2012年後の17.0パーセントと同水準で、日本企業の約6社に1社が “ゾンビ化” しているといえます。