ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ビゼー/アルルの女

2012-04-03 21:58:19 | クラシック(管弦楽作品)
本日はジョルジュ・ビゼーの「アルルの女」を取り上げます。ビゼーと言えば何と言ってもオペラ「カルメン」が圧倒的に有名ですが、この「アルルの女」も負けず劣らず魅力的です。スペインが舞台の「カルメン」に対し、こちらは南フランスのプロヴァンス地方が舞台。民族音楽をベースにしながら、ビゼーらしい絢爛豪華なオーケストレーションで味付けされた名曲と言っていいでしょう。ビゼーはこの2大名曲を世に残してわずか36歳で病死したそうですが、長寿を全うしたら一体どれほどの大作曲家になったのでしょうか?歴史に「もし」は禁物ですが、思わずそう言いたくなるほどの名旋律の宝庫です。

まず、第1組曲「前奏曲」の冒頭は誰もが聞いたことあるほど有名な旋律ですが、これは実は現地の民謡らしいです。ビゼーの天賦の才能はむしろ他の曲に感じることができます。金管楽器が高らかに鳴り響く「カリヨン」、壮麗な「パストラール」、牧歌的なフルートとハープが美しい「メヌエット」、ひたすら楽しい舞曲風の「ファランドール」と全編歌心にあふれています。



CDはチョン・ミョンフン指揮パリ・バスティーユ管弦楽団のものを買いました。彼はかの有名なヴァイオリニスト、チョン・キョンファの弟で自身もピアニストとして活躍していますが(以前にチョン・トリオで紹介もしました)、むしろ指揮者としての名声の方が高いかもしれません。東洋人でありながらフランスの名門オケの音楽監督を務め、フランス音楽の傑作を見事に料理しました。大したもんです。

このCDにはビゼーの作品が他に2つ収録されています。「カルメン」組曲はオペラの名アリア集を管弦楽にアレンジしたもの。この作品の真の魅力を知るには全曲版オペラを聴くのが一番ですが、3時間近くもあるので手っ取り早く聴きたい時、あるいはオペラ鑑賞の予習代わりにはいいかもしれません。「闘牛士」「アラゴネーズ」「セギディーリャ」「ジプシーの歌」はじめ問答無用の名旋律のオンパレードです。

「子供の遊び」は5曲で11分余りしかない小品ですが、タイトル通り人形遊び・こま・おままごとなど子供の遊びの数々をビゼーらしい豊かな旋律とオーケストレーションで味付けた逸品です。特に「小さな旦那様、小さな奥様」の美しい旋律はビゼーならではです。
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