前日終わった地元・武漢の劇団=湖北省話劇院による『臨時病室』のセットがバレたあとに我々の仕込みが始まった。
珞珈山劇院は小ぶりな良い劇場だった。
道路から広い階段を上って劇場入口になるが「ああ、これから芝居を観る」って高揚感の沸く良いロケーション。
栄えある『第8回中国芸術祭』ということで、そのアプローチには花が飾られ、それがまた美しかった。
その⑪でも少し触れたけど『八芸祭』は、この日から16日間に渡って、武漢を中心とした湖北省6市で行われ、国内各地から選ばれた54の演目が、中国の舞台芸術の最高峰「文華賞」を競い、またアマチュアは芸術全般(舞台に加え絵画や書道など)の「群星賞」を目指す! その作品数は500以上。
さらに海外からブロードウェイミュージカル『42番街』など10演目が招待され、その中に我々東演が含まれているというわけだ。
過去最大の規模。国内外から1万人以上が集ったそうだ。
さて一方、劇場の中ではトラブルが続いていた。
まず、芝居で使う病室のベッドマットレスが盗難に会い(干していたモノが消えたらしい)
また、屋上のシーンで使う星空の仕掛けがNGに
ところが天は我々を見捨てはしなかった
ここ武漢では、冒頭書いた通り『臨時病室』をレパートリーとして持っているので、多少タイプは違うものの、話劇院から借りすることで凌ぐことができた。
無事、翌日に幕は開いたのだった
街中に「八芸祭」のロゴが踊り、開場の頃にはロビーにグッズが並んだ。鹿のような、あるいは伝説の動物=麒麟のようなキャラクターのぬいぐるみやキーホルダーや記念のコインなど。
赤い揃いのトレーナーを着たボランティアスタッフも劇場に入り、お祭りムードの中での公演となりました。