麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

ジュドーノードウ

2015年01月09日 | 身辺雑記

松も取れたので書くことにする。
新春には相応しく話題なのだ。

まずは昨年末、確か二十九日の夜、
地下鉄車内での出来事。

忘年会でうかれた人々が多い中、
とある駅から乗ってきた女性。
三十半ばくらいに見えた。
彼女はスマホをいじりながら
僕の対面に座ったと思いきや、
「刺し殺す、刺し殺す」を繰り返し
数駅乗ったあと降りて行った。

いったい彼女に何があったのだ。
その強い衝動は、デザートにオーダーした
モンブランの天辺の栗が小さいとか、
そんな程度では起きない感情のはずだ。

年をまたいだ一月二日。
箱根往路のテレビ観戦を終え
払い忘れていた携帯料金を納めに
コンビニに行く途中、缶ビール片手に
電話している二十代後半くらいの女性が
「私に死ねっていうの、私に死ねっていうの」
と交差点の真ん中に立ち止まって叫んでいた。
一度こちら岸に渡り終えたところで
受話器の向こうの彼が何か言ったようだ。
踵を返すとまた十字路の真ん中に行き
再び「私に死ねっていうのね」と毒づいた。
それを掻き消す激しいクラクション。

それを横目に僕はコンビニに入った。
「お間違いなければ確認のボタンを」
店員の毎度の指示に応えようとした刹那、
興奮した口調で喚くくだんの女性が
入店して来、、商品には目もくれず
一直線にトイレへ。そして、
聞こえてきたのは「死ねっていうのね」

年末の能動的な女性と、新年の受動的……
自ら命を葬るなら能動と言えなくもないが
……いずれにしろ他人事ながら
胸が痛い態度であった。

僕はお金を払って店を出た。
自動ドアの外側に五百ミリリットルの
缶ビールが置き去りにされていた。
それは道祖神か石敢當のようにも見えた。

それから小一時間して。
かみさんが、すっぱいポテチが食べたい
と突然言い出し、再びコンビニへ。

道祖神のようなビールはまだあり、
まさかと思ったが、トイレは使用中で、
先程の声は落ち着きを取り戻してはいたが
それでも十分に感情的に「だから嫌いなのよ」
と半泣きでまだ電話していた。

歩いて数分の短い距離を
カラムーチョより酸っぱい気持ちで帰宅。

そりゃ色々辛いことはあると思う。
他人には大したことじゃなくても
殺したくなったり死にたくなったり
本人には思えることなんだとは分かる。

いや実感は出来ないから判るというより
そんな気持ちは解らないでもない、
が正しいだろうか。
だから、万が一相談を受けても、
良い答えはできはしない。けれど。
黙って箱根駅伝のDVDを渡したい、と、
結構真剣には思った、一月二日の話。
コメント
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