麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

くりきんとん

2023年05月06日 | 

今日は、いちにち風が速かった。

 

今日は、彼女の誕生日でもあり、

今日の風のように一生を早く駆け抜けた彼女と

よく似た一日だったな~と想った。

 

人は、天寿をまっとうした折に一度、

そして誰からも忘れられた時にもう一度、

つまりは二度死ぬのだと謂われるが……。

 

そういう意味で、彼女は生きている。

旅立ちの4月26日以来、

「早逝した女優」を弔うSNSや、

そこに寄せられるコメントに確信する。

 

バースデーイヴ、彼女不在で盃を傾けた。

本当に早すぎて、実感がわかないから

はるばる埼玉の、わりと大きな街まで出向き、

彼女の応援団長ともいえる人生の先輩とサシ飲み。

 

今回に限らず、こういう時には、

静やかに横たわる湖の畔を歩きながら、

湖自身のことじゃなく、風景を語りがちになる。

 

例えば、ついこないだ終幕した芝居の感想や

彼女が所属していた劇団のあれこれ、

外部出演で出会った面々とバーベキューに興じたとか

他愛もない、周辺の話に、あえて明け暮れる。

 

おもいのほか長く呑んだ。

呑んだけれど、まるで時間が足りない。

ほとりを何周もしたのに、肝心の湖のことを

余り語ら……語れずにお開きになったから。

 

 

献盃した街は、やはり四月にさよならした

演劇ライターが住んでいた所でもあったのだ。

 

街でいえば。

彼女が生まれ育った処の名物のひとつ

「栗きんとん」は、我々がよく知るお節料理の、

あまーいあれではなくて、

口内の水分を持っていくタイプの和菓子だ。

 

初めて食べた衝撃は、彼女が劇団研究所の面接に来、

初めて会った衝撃と重なるものだった。

 


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