足腰大丈夫な内に出来る限り、不要雑物処分・身辺片付け整理をしよう等と思い込んでからすでに久しいが、正直なかなか進んでいない。それでもここ2~3年には、押し入れや天袋、物置、書棚等に詰まっていた古い書籍類等をかなり大胆に処分してきた。ただ、中には「これ、面白そう・・」等と目が止まり、残してしまった書籍もまだまだ結構有る。その中に、漫画家赤塚不二夫著、元東京学芸大学附属高等学校教諭石井秀夫指導の古典入門まんがゼミナール「枕草子」(学研)が有る。多分、長男か次男かが、受験勉強中に使っていた「枕草子」の解説本・参考書の一つのようだが、錆びついた老脳でもなんとか読めそうな、まんがで描いたくだけた内容、その内いつか目を通してみよう等と仕舞い込んでいたものだ。ながびく新型コロナ禍、不要不急の外出自粛中、ふっと思い出して、やおら引っ張りだしてみた。当然のこと、本格的な「枕草子」解説本、参考書とは異なり、限られたサワリの部分に絞ったものであるが、学生時代に多かれ少なかれ齧っていたはずの日本の代表的な古典、清少納言の「枕草子」も、ほとんど覚えていないし、「古典」に疎く、苦手な人間でも、十分楽しめそうで、御の字の書である。
「清少納言のちょっぴり平安博物雑誌」・まんがゼミナール「枕草子」 その29
第41段 「鳥は」
「鳥は」で始まる類聚段。「おうむ」をはじめ十数羽の鳥が取り上げられている。最も力を入れて叙述しているのは「うぐいす」と「ほととぎす」。特に「ほととぎす」は、清少納言のお気に入りだったのだろうか、ベタ褒めしている。
鳥は、異国のものやけど、おうむに心ひかれる。人の言うことをまねするそうや。
くいな、しぎ、都鳥、ひわ、ひたき、
鶴は、とてもいかつい鳥やけど、鳴く声は、天まで届く、大変めでたい鳥や。ル ル ル ル ルーッ・・・。
千鳥は、もの悲しさが感じられて、風情があって、ワテは好きや。
鷺(さぎ)は、えらく見苦しい。目付きも悪く、魅力に乏しい。
水鳥の中では、おしどりが、夫婦愛が有って、心豊かやね。
鶯(うぐいす)は、詩等に歌われ、声も姿かたちも上品でおますが、どういうわけか、御所には飛んで来へんのドス。それがよろしおまへん・・・。御所には、竹やら紅梅やら、ええ舞台がセットされとりますのやが。ワテも10年程、宮中に仕え、気い付けておましたが、ほんま、声聞いたことあらへんどす。せやけど、御所を出てみると、貧しげな家の庭先、みすぼらしい梅に止まって、うるさげに鳴いておまス。よほど貧乏性なのやろか。
とんびとか、烏(からす)とかに、関心持つ人は、あらしまへん。
時鳥(ほととぎす)も、いまさら言うまでもあらしまへんが、季節が来ればいつしか、自信ありげな声で鳴き、卯の花や橘等に宿って、姿見え隠れさせるのも、風情が有ってええどすねえ。梅雨のころの短い夜に、人より先に、時鳥の声を聞こうと待っていて、夜明け前の闇のかなたから聞こえるその声は、ほんま、心の底から引き付けられるのでおます・・・。
原文だよーん
鳥は、異所(ことどころ)のものなれど、あうむ、いとあはれなり。人の言ふらむことをまねぶらむよ。時鳥(ほととぎす)、くひな、しぎ、都鳥、ひわ、ひたき。山鳥、友を恋ひて、鏡も見すれば、慰むらむ、心わかう、いとあはれなり。谷隔てたる程など、心ぐるし。鶴は、いとこちたきさまなれど、鳴く声雲居まで聞こゆる、いとめでたし。かしら赤き雀、いかるがの雄鳥(をどり)、たくみ鳥。
(注釈)
鳥は、西域の鳥ではあるが、おうむが、実にしみじみとした感じがする。人の言う言葉を真似て言うとかいうことだよ。時鳥、くいな、しぎ、ひわ、ひたき、これらが面白い。山鳥は、友を恋い慕って、鏡を見せると、自分の姿を友と勘違いして、心が慰むとかいうのが、心幼くて、実にしみじみする感じだ。谷を隔てて雄鳥が棲む時などは、気の毒なほどだ。鶴は、実に仰々しい格好だが、その鳴く声が大空まで聞こえのは、実に素晴らしい。頭の赤い雀、いかるがの雄の鳥、よしきり等が趣がある。
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