古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

カチアートを追跡して  ティム・オブライエン   生井英考・訳

2015-12-11 14:30:08 | 小説の紹介
1994年作品。新潮文庫。



ベトナムの戦火の中でカチアートがパリを見たい、と言って





脱走する。それを追い、中尉はじめ、主人公、ポールバーリ



ンらは追跡を開始する。脱走というのがひとつのモチーフに



なっていて、それにつられて逃避行ということになる、T・



オブライエンはあのベトナムから遠く離れた今でさえ、その



戦いの意味や真実を探しているのだと思う。真実を追求す




るのは義務であり、義務とは想像の中であっても、投げ出



されてはならない、ということだ。この話しは、ポール・バ



ーリンのおそらく死にゆく中で見た夢想の中なのだと思う。



見たことのない地に向けてゆく旅、これは想像の中であっても




放棄されてはならない。たとえ死んでも、自由という地に立



つ本分を忘れては真実を見ることはできないのである。



一体真実とは?そこにある虚妄さえ、真実となる場合もある



のではないか。ベトナムは見えないカチアートを追ってどこ



までも続くのだ……。
コメント
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