1994年作品。新潮文庫。
ベトナムの戦火の中でカチアートがパリを見たい、と言って
脱走する。それを追い、中尉はじめ、主人公、ポールバーリ
ンらは追跡を開始する。脱走というのがひとつのモチーフに
なっていて、それにつられて逃避行ということになる、T・
オブライエンはあのベトナムから遠く離れた今でさえ、その
戦いの意味や真実を探しているのだと思う。真実を追求す
るのは義務であり、義務とは想像の中であっても、投げ出
されてはならない、ということだ。この話しは、ポール・バ
ーリンのおそらく死にゆく中で見た夢想の中なのだと思う。
見たことのない地に向けてゆく旅、これは想像の中であっても
放棄されてはならない。たとえ死んでも、自由という地に立
つ本分を忘れては真実を見ることはできないのである。
一体真実とは?そこにある虚妄さえ、真実となる場合もある
のではないか。ベトナムは見えないカチアートを追ってどこ
までも続くのだ……。
ベトナムの戦火の中でカチアートがパリを見たい、と言って
脱走する。それを追い、中尉はじめ、主人公、ポールバーリ
ンらは追跡を開始する。脱走というのがひとつのモチーフに
なっていて、それにつられて逃避行ということになる、T・
オブライエンはあのベトナムから遠く離れた今でさえ、その
戦いの意味や真実を探しているのだと思う。真実を追求す
るのは義務であり、義務とは想像の中であっても、投げ出
されてはならない、ということだ。この話しは、ポール・バ
ーリンのおそらく死にゆく中で見た夢想の中なのだと思う。
見たことのない地に向けてゆく旅、これは想像の中であっても
放棄されてはならない。たとえ死んでも、自由という地に立
つ本分を忘れては真実を見ることはできないのである。
一体真実とは?そこにある虚妄さえ、真実となる場合もある
のではないか。ベトナムは見えないカチアートを追ってどこ
までも続くのだ……。