古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

詩・墓地では     鶴岡卓哉

2020-02-08 13:30:49 | 詩・ポエム
墓地では     鶴岡卓哉


その無機質な香りを黄金に変え


死者の魂をネオンサインに映し


漂流するかぐわしき憂いに翻弄された僕は


墓地に迷い込んだトランプのハートの切り札を切り


心臓の鼓動のような足音


血に濡れた信号に映る屍の眼


ドロドロの血管の外側に渦巻く傷跡


無名の詩人の墓碑


戯れる無垢な少女たちの腐った小指のツメ


僕らの悲鳴を聞きつけてきた老人の腐臭のする爪痕のある腕


僕らはサクランボを摘む臼歯を持つ少年だ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする