「素敵な活字中毒者」所収。 集英社文庫
昭和五十五年
澁澤氏と云えば、エロティシズムの権威として有名だ。
マルキ・ド・サドの研究に於いても秀でている。
この短編は、「ユリイカ」に発表。「ドラコニア綺譚集」に
収録。青土社より刊行されている。
この短編は衣魚(しみ)と云う虫。本を食べる虫について
の話しだ。
経典で三行の文章がどうしても読めない。覚念は深く嘆き悲
しんで三宝に相談し、加護を求めた。すると、夢の中に気高い
老僧が出て来て、「おまえには宿因がある。前世は衣魚という
虫で、その三行を食べてしまったのだ」と云う。それからは、
つっかえずに読めるようになった、と云う話しが紹介されている。
僕はこの話しがとても好きである。宿めとは、動かしがたく、
そこに存在すると云うことが明解になっている点が良い。
(読了日 2024年12・4(水)14:40)
(鶴岡 卓哉)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます