新潮文庫。
標本室につとめるようになった21歳の女性。以前
つとめていたサイダーの工場で薬指の先を失って
しまった。標本室にはかすかに頬に火傷のある女
がやってきて、技術室の向こうに女性自体消えて
しまい戻ってくるところを女は知らない。浴場で裸
になり弟子丸という男と抱き合う仲の女は嫉妬を
感じるのか……。弟子丸から革靴をもらい、それ
は足にフィットし、足の一部となっていく。くつ
みがきの男にこのままでは足を失うことになる、と
予言めいたことをいわれる。老女が死んだり、なにか
哀しげなしんとした雰囲気がただようが、決して
暗い訳ではない。
そのストーリーを簡明に表現するのは難しく、ふしぎ
な世界の拡がりがあり……ボクもその世界にどっぷりと
浸かってしまった。
「六角形の部屋」……六角形の小部屋で独白するだけの
商売をしている親子と出会い、彼氏を憎むことにな
った女を描く。ぽつんと取り残されたように、六角形
の小部屋は旅だってしまう。女の背中の痛みが、奇妙に
この短編の薬味となっている。
標本室につとめるようになった21歳の女性。以前
つとめていたサイダーの工場で薬指の先を失って
しまった。標本室にはかすかに頬に火傷のある女
がやってきて、技術室の向こうに女性自体消えて
しまい戻ってくるところを女は知らない。浴場で裸
になり弟子丸という男と抱き合う仲の女は嫉妬を
感じるのか……。弟子丸から革靴をもらい、それ
は足にフィットし、足の一部となっていく。くつ
みがきの男にこのままでは足を失うことになる、と
予言めいたことをいわれる。老女が死んだり、なにか
哀しげなしんとした雰囲気がただようが、決して
暗い訳ではない。
そのストーリーを簡明に表現するのは難しく、ふしぎ
な世界の拡がりがあり……ボクもその世界にどっぷりと
浸かってしまった。
「六角形の部屋」……六角形の小部屋で独白するだけの
商売をしている親子と出会い、彼氏を憎むことにな
った女を描く。ぽつんと取り残されたように、六角形
の小部屋は旅だってしまう。女の背中の痛みが、奇妙に
この短編の薬味となっている。