古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ロビンソンの末裔 開高健

2024-11-27 01:03:03 | 開高健

新潮文庫 昭和四十七年

 

北海道の戦前から戦後にかけての開拓民の

 

苦悩を描く。

 

東京で食うや食わずで、北海道への開拓の

 

うまい話にのって、広い大地と格闘するものの

 

敗れ果てて行く話だ。

 

解説にもあるが、その開拓の話しだけではない、

 

上野駅での混乱、混沌、混濁、垢に塗れる汗、

 

腐臭にまみれた体臭が、このその場の空気を

 

活写した感じは、イキイキとしていて、ルポル

 

タージュとも言えない、小説の世界を表現し得

 

ている。

 

開高氏は果たして、大地に根差した作家なのだろ

 

うか? と問うと、ぼくはその後の作品を鑑みて

 

決して、この作品が浮いているとは思えない。

 

いや、釣りへと興味が湧いて来る発端が現れ出て

 

いるのではないか、と思うのだ。きっと、開高氏は

 

自然と云うものの驚異を三十歳のこの頃から如実に

 

感じ、表現したかったのかもしれない。

 

(読了日 2024年11月10日(日)22:20)

                (鶴岡 卓哉)

 


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