古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

残り火 フィッツジェラルド             

2023-11-20 05:18:07 | 小説の紹介
村上春樹・訳 中公文庫

まず、本書のはじめに、フィッツジェラルド体験、と

題された評論がある。それは春樹氏の真骨頂ともいえ

る素晴らしいものだ。言葉の柔軟性といい、美しさ、

といっちゃあ幼稚かもしれぬが、芳しい香りが立ち上

ってくるような文章だ。「残り火」という短編も、

伴侶の頭の瘤が弾けて寝たきりになってしまう、とい

う悲惨な話だ。暗いし、しかし、ひりひりするような

鋭い痛みが夢中にさせた、本当だ。この本を買って、

20年以上たって思うが、その真価が分かるようにな

れたのは、フィッツジェラルドもとうに死んでしまった

年齢になってからだとは。僕はフィッツジェラルドの

ようには絶対に書けない、でも、と僕は思うのだ。

僕のように、フィッツジェラルドだって書けないはずだ、

と。

(読了日 2023年10・27(金)21:20)





























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