文春文庫 2014年。
こんな戦慄すべき文学があるとは驚きだ。「恐怖」、「不安」
が常にまとい続け、この常識が常識でなくなってゆく。その
転換が、悪夢のような手さばきで描ききられてゆく。
この現実の日本という国と、この小説の中の、「海塚」という
架空の街が大栗恭子という頭を透過していっしょになり、突如
として、ボクらの前にポンと巨大な疑問符としておかれる。お
前は同調していやしないか? と。
ただひとつ気になったのは、同調したはずの恭子が、精神病院
らしきところに入って、その世界がとち狂っていると告白する
ところである。辻褄が合わないではないか。それならば、違う
形で告発させれば良かったのでは、と思えてくる。
すべては悪夢にしても整合性というものは説得力として必要な
のでは? ってことは、すべては恭子の妄想ってことか………それでは、
少しつまらないなあ。
こんな戦慄すべき文学があるとは驚きだ。「恐怖」、「不安」
が常にまとい続け、この常識が常識でなくなってゆく。その
転換が、悪夢のような手さばきで描ききられてゆく。
この現実の日本という国と、この小説の中の、「海塚」という
架空の街が大栗恭子という頭を透過していっしょになり、突如
として、ボクらの前にポンと巨大な疑問符としておかれる。お
前は同調していやしないか? と。
ただひとつ気になったのは、同調したはずの恭子が、精神病院
らしきところに入って、その世界がとち狂っていると告白する
ところである。辻褄が合わないではないか。それならば、違う
形で告発させれば良かったのでは、と思えてくる。
すべては悪夢にしても整合性というものは説得力として必要な
のでは? ってことは、すべては恭子の妄想ってことか………それでは、
少しつまらないなあ。