古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ポラード病      吉村萬壱

2018-03-20 10:08:54 | 小説の紹介
文春文庫   2014年。


こんな戦慄すべき文学があるとは驚きだ。「恐怖」、「不安」


が常にまとい続け、この常識が常識でなくなってゆく。その



転換が、悪夢のような手さばきで描ききられてゆく。



この現実の日本という国と、この小説の中の、「海塚」という


架空の街が大栗恭子という頭を透過していっしょになり、突如



として、ボクらの前にポンと巨大な疑問符としておかれる。お


前は同調していやしないか? と。


ただひとつ気になったのは、同調したはずの恭子が、精神病院


らしきところに入って、その世界がとち狂っていると告白する


ところである。辻褄が合わないではないか。それならば、違う


形で告発させれば良かったのでは、と思えてくる。


すべては悪夢にしても整合性というものは説得力として必要な


のでは? ってことは、すべては恭子の妄想ってことか………それでは、


少しつまらないなあ。

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