映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ソロモンの偽証 前篇・事件

2015年11月01日 | 映画(さ行)
凛とした少女の眼差しで



* * * * * * * * * *

宮部みゆき作品の映画化。
私は読んでいそうで読んでいなかったという・・・。
単行本も映画もあまりにも宣伝が仰々しかったために、
天邪鬼な私は敬遠していたというのが正直なところですが、
いやいや、意地を張らずにさっさと見ればよかった。
思ったよりも浮ついたところがなく、
グイグイと惹きつけられる力作でした!!



バブル経済の終焉期、1990年12月25日のクリスマスの朝。
中二の藤野涼子(藤野涼子)が、
同じクラスの柏木卓也が屋上から転落死しているのを発見します。
警察の調べでは自殺ということになったのですが、
同校生徒の大出俊次による殺人であると、
犯人を名指しした告発状が届きます。
なんとかうやむやにしようとする学校。
センセーショナルに報道しようとするマスコミ。
そんな中でまた一人の少女の死。
藤野涼子は「偽善者」であることをやめようと決意し、
事の真相を探るため、学校内裁判を開廷することに・・・。



藤野涼子の原動力は単なる正義感ではなく、
かつて柏木卓也からつきつけられた「偽善者」という言葉に、
揺さぶられていたから。
二度と同じ後悔はしない、という真っ直ぐな思いに
突き進む少女がなんともステキです。
そして彼女に賛同していく級友たちや、
心意気あっぱれな北尾先生(松重豊)も!!



前田航基くんの存在には癒やされましたねえ・・・。
なんか彼がいると深刻な場面でも癒やされる・・・。
こんな子がクラスに一人は必要です!
気の毒ではあるけれど、ちょっと危ない感じの森内先生(黒木華)とか、
すごくいい人なんだけど、いい人過ぎて
学校のリーダーには不向きと思わせる校長(小日向文世)・・・
ベテラン陣の配置でぐんと引き締まる。



何にしても一番怖いのはあの心に闇を抱えた少女だし、
逆に天使?とも思えるお人好しの天真爛漫少女の死はショッキングで悲しい。
なんとも後編が楽しみであります。

ソロモンの偽証 前篇・事件 [DVD]
藤野涼子,板垣瑞生,石井杏奈,清水尋也,前田航基
松竹


「ソロモンの偽証 前編・事件」
2015年/日本/121分
監督:成島出
原作:宮部みゆき
出演:藤野涼子、前田航基、佐々木蔵之介、永作博美、黒木華、松重豊

少女の凛々しさ★★★★★
それぞれの個性★★★★☆
満足度★★★★☆