映画と本の『たんぽぽ館』

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マンデラ 自由への長い道

2015年11月14日 | 映画(ま行)
正しいことは強い



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南アフリカで人種隔離政策アパルトヘイト撤廃に尽力した、
ネルソン・マンデラ氏自伝の映画化です。



これまで、「マンデラの名もなき看守」や「インビクタス」で、
側面からマンデラ大統領の足跡や人となりを見てきましたが、
本作はストレートに氏の人生をたどっています。
氏が終身刑で投獄されたのが1964年。
東京オリンピックの年ですね。
日本ではお祭り騒ぎのその年に、世界の片隅でそのようなことが起こっていたわけです。
それから27年間にわたっての獄中生活・・・
というのも想像がつき難いですが・・・。
とてつもなく強い意志がなければ耐えられない気がします。
けれど、獄中にあって彼は一人ではなかった。
もちろん、同時に投獄された仲間たちもいたのですが、
南アフリカの黒人たちだけではなく、世界中の人達がアパルトヘイトに反対し、
マンデラ氏の釈放を願った。
そういうことがどれだけ力になったことか。
長い時間がかかりましたが、正しいことは強いのです。



南アフリカの白人たちの鼻持ちならない差別意識。
そのことには遠く離れた日本にいても
、私自身にも理不尽に思えたものですが、
彼らの中にあったのは実は「恐怖」であると、
「マンデラの名もなき看守」の中では言っていて、
そしてもちろん本作も然り。
それがマンデラ氏自身が感じた全てだったのでしょう。
だからこそ、彼はアパルトヘイト撤廃の時にも、
「和解と赦し」を主張したわけです。
憎しみの連鎖を断ち切ること。
世界平和への路はそれしかありません。



しかし、獄中の彼を長年支え続けた妻ウィニーとは、
その考え方の相違で別れることになってしまったというのはいかにも残念。
それは獄中という極限状態にいながらも、
マンデラ氏自身は直接の嵐に晒されなかったということが大きかったのかも。
日々、白人の悪意に直接晒されたウィニーは
「憎しみ」で自分を武装するしかなかったというのもわかります。
彼女を守るべき夫は決して助けには来られないという状況の中で・・・。
でも戦い続けた彼女の意志もまた素晴らしく強いのですけれど。



27年の獄中生活を経て、大統領就任。
なんと数奇な人生。
けれど、その信念の強さとリーダーシップを尊敬せずにいられません。
どなたにも一度は見ていただきたい。



マンデラ 自由への長い道 [DVD]
イドリス・エルバ,ナオミ・ハリス,トニー・コロゲ,リアード・ムーサ,リンディウェ・マツィキザ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


「マンデラ 自由への長い道」
2013年/アメリカ/147分
監督:ジャスティン・チャドウィック
出演:イドリス・エルバ、ナオミ・ハリス、トニー・キゴロギ
メッセージ性★★★★★
満足度★★★★☆