映画と本の『たんぽぽ館』

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ソロモンの偽証 後篇 裁判

2015年11月02日 | 映画(さ行)
涙の意味は?



* * * * * * * * * *

さて、いよいよ後篇は子供たちの校内裁判が開廷します。
告発状により、柏木卓也殺害の嫌疑をかけられた大出。
検事として藤野が、弁護人として神原が立ちます。
いよいよ、明日から開廷というその日、
藤野は神原にある疑惑を覚えます。
テレビのニュースで初めて柏木の死を知ったという神原は、
それ以前に柏木の葬儀に来ていたのではなかったか。
謎を抱えたまま、裁判に突入しますが・・・。



悲惨な家族環境という過去を背負った神原くんが、
なぜにこんなにも他校の「裁判」に熱心になるのか。
実はここが大きなポイントだったわけです。
現れてくる真相に確かに驚きはあったものの、
それぞれの子供達と家族の心理が丁寧に描写された前篇のほうが
見応えがあったように思います。



後篇は、教科書的決着に向かわなければならないというところで、
やや、類型的になってしまったきらいが。
でも、人のことを「偽善者」と非難した柏木くんは、
やはり救いようのない孤独を抱え、
また、人を傷つけることも厭わないという、
決して強くはない人物であったというのも苦いですね。





前篇で凄みのあった樹理は、後篇でもやはり一筋縄ではいかない。

そう、ここの時点ではそれでいい。
でも、その明らかなウソの証言で、藤野が流す涙の意味を
私はちょっと測りかねたのですが・・・。
こんなにがんばったのに、真実を話してもらえない悔しさなのか。
彼女に信頼してもらえなかったことの自分の至らなさを情けなく思ったのか。
ここでも真実を話せない彼女の心の闇を思ったのか。
あんなにも樹理をかばっていた松子の死を改めて哀れに思ったのか・・・。



まあ、涙の意味は時として自分にもよくわからないことはあります。
ここはこんなふうに私たちの想像にまかせるよ、
というシーンなのかもしれません。

ソロモンの偽証 後篇・裁判 [DVD]
藤野涼子,板垣瑞生,石井杏奈,清水尋也,富田望生
松竹


「ソロモンの偽証 後篇・裁判」

2015年/日本/146分
監督:成島出
原作:宮部みゆき
出演:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生
青春度★★★★☆
満足度★★★.5