映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

Uターン

2018年08月24日 | 映画(や行)

Uターンしたいのにできない

* * * * * * * * * *

マフィアに追われるボビー(ショーン・ペン)は、西海岸へ向けて急いでいたのですが、
車の故障のため、やむなく砂漠の果ての町にやってきます。
その分かれ道にあった標識が「Uターン可」。
これはつまり、「よそ者は引き返せ」という意味なのですね。
はじめから嫌な予感がいっぱい。


その町でボビーはまさによそ者として注目を浴びてしまうのですが、
強引に代金を釣り上げる自動車修理工や、
互いに殺したいと思っている不似合いな夫婦、
恋人に思い入れの強すぎるクレイジーな男等、
出会う人物はおかしな者ばかり。
そんな奇妙な人間関係の渦にボビーは巻き込まれてしまいます。
おまけに強盗に有り金をすべて取られてしまい、にっちもさっちも行きません。
「Uターン可」どころか、この街を出ること自体が困難な状況になっていきます。
もがけばもがくほど、戻れない、まるでアリ地獄にはまってしまったかのような・・・。
そんな中で唯一まともに思えた保安官さえもが・・・。

ボビーは前の町で、闇社会でのイザコザを起こし逃亡途中です。
そのときに指2本を切り落とされているのです。
そこでもう、彼は常とは違う「自分」になっていたのかもしれません。
または、町の人々が彼の包帯の指を見て「特殊な人物」という無意識での刷り込みをしたのかもしれない。
彼の一部「欠落」した体が、本作の悲劇を呼び起こす必然になっている・・・と、
そんな気がしました。

およそ20年前の作品。
ホアキン・フェニックスがしょーもないアンちゃん役。
そんなところも興味深いです。

Uターン [DVD]
ショーン・ペン,ジェニファー・ロペス,ニック・ノルティ,ジョン・ボイド,クレア・デーンズ
パイオニアLDC



<WOWOW視聴にて>
「Uターン」
1997年/アメリカ/125分
監督:オリバー・ストーン
出演:ショーン・ペン、ジェニファー・ロペス、スキート・ウールリッチ、ニック・ノルティ、クレア・デーンズ、ホアキン・フェニックス

心の闇度★★★★☆
満足度★★★☆☆