チャグムが成長していく・・・
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海にのぞむ隣国サンガルに招かれた、新ヨゴ皇国の皇太子チャグム。
しかし、異界からの使いがあらわれたことで、王宮は不安と恐怖につつまれる。
呪いと陰謀のなかで奔走するチャグムを描く、シリーズ第4作。
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「精霊の守り人」から始まるシリーズ第4作目。
でも今回は“守り人”ではなく“旅人”となっていまして、
つまり“守り人”は用心棒バルサ中心の物語、
“旅人”は皇太子チャグム中心の物語、ということになります。
チャグムは新ヨゴ皇国の皇太子。
となればそもそもそう気軽には旅にはでられないわけなのですが、
本巻ではヨゴ皇国の隣国、サンガル王国の「新王即位ノ儀」に招かれ、
国を離れてはるばるやって来たのです。
チャグム14歳。
学問係として先にも登場しているシュガが付き添っています。
本来なら手厚くもてなしを受ける外交訪問のはずですが、
折しもその時、サンガル王国の主権を狙おうとするタルシュ帝国の陰謀が・・・。
そしてまた、ここでも「サグ」と「ナユル」のような直接的には見ることのできない二重世界があり、
そのために1人の女の子が犠牲になろうとしているのです。
そんなことについ巻き込まれてしまうチャグム。
見ても見ないふり、知らないふりをすれば済むことではありました。
でもそうできないのがチャグムなのです。
将来一つの国を治めるべき自身の立場からすれば、むしろ立ち入るべきではない。
けれど、自ら危険を冒しても「正しい」と思える方に進む。
こうした為政者のあり方だってあるのではないか・・・と考え始めるチャグム。
よいですねえ・・・、少年は立派に成長しつつあります。
バルサなしでも立派にやっていける。
というところで、今後のシリーズもますます楽しみになるのでした。
図書館蔵書にて
「虚空の旅人」上橋菜穂子 軽装版偕成社ポッシュ
満足度★★★★☆