映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「虚空の旅人」上橋菜穂子

2020年09月19日 | 本(SF・ファンタジー)

チャグムが成長していく・・・

 

 

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海にのぞむ隣国サンガルに招かれた、新ヨゴ皇国の皇太子チャグム。
しかし、異界からの使いがあらわれたことで、王宮は不安と恐怖につつまれる。
呪いと陰謀のなかで奔走するチャグムを描く、シリーズ第4作。

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「精霊の守り人」から始まるシリーズ第4作目。
でも今回は“守り人”ではなく“旅人”となっていまして、
つまり“守り人”は用心棒バルサ中心の物語、
“旅人”は皇太子チャグム中心の物語、ということになります。

 

チャグムは新ヨゴ皇国の皇太子。
となればそもそもそう気軽には旅にはでられないわけなのですが、
本巻ではヨゴ皇国の隣国、サンガル王国の「新王即位ノ儀」に招かれ、
国を離れてはるばるやって来たのです。
チャグム14歳。
学問係として先にも登場しているシュガが付き添っています。
本来なら手厚くもてなしを受ける外交訪問のはずですが、
折しもその時、サンガル王国の主権を狙おうとするタルシュ帝国の陰謀が・・・。

そしてまた、ここでも「サグ」と「ナユル」のような直接的には見ることのできない二重世界があり、
そのために1人の女の子が犠牲になろうとしているのです。

そんなことについ巻き込まれてしまうチャグム。

見ても見ないふり、知らないふりをすれば済むことではありました。
でもそうできないのがチャグムなのです。
将来一つの国を治めるべき自身の立場からすれば、むしろ立ち入るべきではない。
けれど、自ら危険を冒しても「正しい」と思える方に進む。
こうした為政者のあり方だってあるのではないか・・・と考え始めるチャグム。

よいですねえ・・・、少年は立派に成長しつつあります。
バルサなしでも立派にやっていける。

というところで、今後のシリーズもますます楽しみになるのでした。

 

図書館蔵書にて

「虚空の旅人」上橋菜穂子  軽装版偕成社ポッシュ

満足度★★★★☆