祖父の船を探し求めて、北極海へ乗り出す少女
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フランス・デンマーク共同制作のアニメ作品です。
19世紀、ロシアのサンクトペテルブルグに14歳のサーシャは暮らしています。
敬愛する祖父は、一年前北極航路の探検に出たきり行方不明となっています。
捜索も行われてはいましたが、未だに発見されていません。
そんなある日、サーシャは祖父の部屋で航路のメモを発見し、
これまでの捜索は場所を間違えていたことに気がつきます。
しかしそんなサーシャの言葉に、父も担当大臣も耳を貸しません。
やむなく、サーシャは自ら捜索に行くことを決意しますが・・・!
サーシャは貴族のお嬢様。
一人で遠くに出かけたこともないし、家の仕事だってしたことがありません。
家出をしてなんとか港まではついたものの、お金はだまし取られて行き場もなくなってしまいます。
そんな彼女を見かねた酒場の女将さんが、
仕事を手伝うことを条件にねぐらを提供してくれたのでした。
掃除、給仕、調理・・・どれをとっても今までやったこともなく、満足にできません。
でも彼女にはガッツだけはあった。
ダメでも下手でも、そっと見守る女将さん、勇気ある!
でも、めきめきと仕事を軽くこなすようになるサーシャ。
さすが若いって素晴らしい。
本作、もちろんサーシャが北極の海に出てからが大変なのですが、
まずは船に乗り込むまでのこの前段階も、彼女にとっては大変なのです。
ここのところが、私はすごく好きです。
人は旅に出て、苦労するものですね・・・。
氷の海を行く船・・・なんとも冒険心をかき立てられ、わくわくします。
乗組員は概ね気のいい男たちです。
特にサーシャがただの「乗客」ではなく、なんとかできる部分は分担して手伝うようになってからは、
親しみも増していきます。
しかし、この船にも危機が襲いかかる・・・。
そんな時、サーシャを「不運を呼ぶ娘」と憎しみを抱くものも・・・。
氷の世界での危機、人の心の不和の危機。
様々な困難を乗り越えて彼らは無事生還できるのか?
祖父の船は見つかるのか?
サーシャの冒険を中心としたシンプルなストーリーが、すっきりと胸に迫ります。
そして、輪郭の実線がなく、色面だけの絵柄がとてもオシャレ。
白一色の氷の世界でも、実に淡く豊かな色彩が潜んでいるのだなあ・・・。
すごく好きです。
<WOWOW視聴にて>
「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」
2015年/フランス・デンマーク/81分
冒険度★★★★★
満足度★★★★★