怖ろしい力を秘めた娘・・・
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女用心棒バルサは逡巡の末、人買いの手から幼い兄妹を助けてしまう。
ふたりには恐ろしい秘密が隠されていた。
ロタ王国を揺るがす力を秘めた少女アスラを巡り、“猟犬”と呼ばれる呪術師たちが動き出す。
タンダの身を案じながらも、アスラを守って逃げるバルサ。
追いすがる“猟犬”たち。
バルサは幼い頃から培った逃亡の技と経験を頼りに、
陰謀と裏切りの闇の中をひたすら駆け抜ける。
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上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズ5巻目です。
初めての上下巻。
「守り人」なのでバルサの物語。
本作は一作ごとに、新たな国が舞台になります。
今回は新ヨゴ皇国の西隣となるロタ王国が舞台です。
始まりは、バルサがタンダと共に新ヨゴ国のロタ国境付近で行われる草市を訪れています。
この2人が一緒にいるとなんだかほっとしますね。
バルサはそこで、人買いの手から幼い兄妹を助け出すのですが、
そのことで国を巻き込む大きな災いに巻き込まれることになるのです。
いつもながら、見てみないふりができない「正しい心」を貫こうとするバルサ。
もうこれは仕方ありません。
ロタ国は南北の人々がいがみ合っているほか、
辺境の地に「タルの民」という少数民族がいて、
なぜかロタの人々に疎ましがられ、差別されているのです。
この人買いに売られようとしていたのは、タルの民の兄チキサと妹アスラ。
ところがそのアスラは恐ろしい力を秘めていた・・・。
ということで、そのアスラを利用しようという陰謀があり、
4人はアスラとバルサ、そしてタンダとチキサという風に離ればなれになってしまい、
それぞれが苦難の道を行くことになります。
バルサは果たしてこの少女を真に救うことができるのか・・・?
国内のいざこざや、伝承、そしてやはりあちら側「ナユグ」とのつながりのこと。
一体どうしたらこんな物語を紡ぐことができるのやら、感嘆するばかり。
まあ、とにかくひたすら楽しむのみです。
それにしても毎度毎度、けがの絶えないバルサ。
それでも生き抜く・・・。
心だけでなく体も強いなあ・・・。
<図書館蔵書にて>
「神の守り人 上 来訪編」上橋菜穂子 軽装版偕成社ポッシュ
満足度★★★★☆