蜜蜂と遠雷 スピンオフ
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コンクール入賞者ツアーのはざま、
亜夜とマサルとなぜか塵が二人の恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。
菱沼が課題曲「春と修羅」を作曲するきっかけとなった
忘れ得ぬ教え子への追憶「袈裟と鞦韆」。
幼い塵と巨匠ホフマンの永遠のような出会い「伝説と予感」ほか全6編。
最終ページから読む特別オマケ音楽エッセイ集「響きと灯り」付き。
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恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集。
あの時のおなじみメンバーの過去であったり未来であったりの
出来事を楽しく読むことができます。
というか、例によってすでに誰が誰やら記憶も薄れていたのですが、
それでも一つ一つのエピソードがステキに仕上がっているので、
「蜜蜂と遠雷」自体知らない方でも意外と楽しめるのではないかと思います。
私はコンクール課題曲の「春と修羅」のところが好きでとても印象に残っていたので、
それと絡んだストーリー「袈裟と鞦韆(ぶらんこ)」があるのが嬉しかった。
短編それぞれの題名がユニークで、
祝祭と掃苔
獅子と芍薬
袈裟と鞦韆
竪琴と葦笛
鈴蘭と階段
伝説と予感
以上6編ですね。
そしてこの本の題名が「祝祭と予感」
おわかりですね。
なんとも心憎い。
それから本巻には特別オマケ音楽エッセイ集「響きと灯り」も付いています。
ただしこちらはかなりガッツリのクラシック音楽談義なので
私にはついて行きにくかった・・・。
とすればつまり、「蜜蜂と遠雷」がいかにクラシック音痴の人にも
楽しく読めるようにできているかという、すごいことの証明かもしれません。
映画で風間塵役を演じていた鈴鹿央士さんが、
最近テレビドラマなどで活躍し始めたのも嬉しいところです♡
「祝祭と予感」恩田陸 幻冬舎文庫
満足度★★★.5