息子の心を知る旅
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日本未公開作品。
実話に基づいています。
オレゴン州に住むジョー・ベル(マーク・ウォールバーグ)。
高校生の息子ジェイディン(リード・ミラー)がゲイであり、
そのことにより学校でいじめにあっていると聞きます。
ジョーは、いじめの恐ろしさ、悲惨さを訴えるため、
徒歩でアメリカを横断する旅に出ることに・・・。
本作を見ていて、驚いてしまうところが二カ所あります。
まず、ジョーは息子ジェイディンと共にアメリカ横断の旅をしていると思っていたのですが、
実はそうではなかった・・・。
そして、いよいよ終盤の出来事。
「実話に基づく」と言うことの重さを、ずっしりと感じます。
ゲイであることというのは、アメリカではもうほとんど市民権を得ていて、
多くの人が理解を示しているくらいのように思っていたのですが、
それはニューヨークのような大都市でのこと。
ほとんどの田舎町はまだまだ保守的で、
ゲイに対して嫌悪感を示す人が大多数であるようです。
本作では、ジェイディンは自らがゲイであることをカミングアウトし、
チア部に入って他の女子たちと共にダンスを踊ったりしています。
そんなだから、徹底的に嫌い、いやがらせや暴力までもを振るう男子もいる。
学校側に相談しても地域の意識がそうだから仕方がない・・・と、
解決に向けた積極的な動きをしてくれません。
そして、父親のジョーもまた、実はゲイを異常だと思っているのです。
表向きは息子を認める発言をしておきながら・・・。
そんなだから、旅の始めの頃のジョーの発言は薄っぺらなのです。
オレゴンからニューヨークというのは本当にアメリカの西端から東端まで、劇的な横断の旅。
ヒッチハイクくらいなら良く聞きますが、徒歩というのは珍しい。
ジョーは行く先々で人々にゲイの差別やいじめのことを訴え、
テントで野営しながらゆっくりゆっくりと歩んでいきます。
この旅のことを知った人々に歓迎されることも多い。
でも、実のところ彼は自分のことや人々の思惑ばかりが気になって、
ジェイディンの本当の気持ちを知ろうとはしていなかったのです。
そんな彼が、長い旅の道のりを経て、少しずつジェイディンの真実を理解してゆく。
ジェイディンをジェイディンのまま、愛することが大事なのだと気づいていくわけです。
・・・それにしても、ラストはショッキングなのでした!!
<Amazon prime videoにて>
「ジョー・ベル 心の旅」
2020年/アメリカ/94分
監督:レイナルド・マーカス・グリーン
出演:マーク・ウォールバーグ、リード・ミラー、コニー・ブリットン、ゲイリー・シニーズ
現実の厳しさ★★★★★
満足度★★★.5
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