配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)大崎 梢東京創元社このアイテムの詳細を見る |
駅ビル6階にある書店成風堂で働く、
しっかりものの書店員、杏子と、
勘の鋭いアルバイト、多絵が、
様々な日常の謎を解いてゆきます。
曰く、本格書店ミステリ。
本屋さん好き、読書好きには応えられない本ですね。
冒頭の一作目が、まず、ぎゅっと本好きの心を掴みます。
書店にやってきたお客が、店員に尋ねるのです。
「欲しい本が見つからないのだけれど・・・。
それがタイトルも書いた人もわからないの・・・。
どういう内容かもわからないのよね・・・。」
こういわれたら、普通はキレますね。
バカにしてるんですか?とか、
話にならない、出直してきて、とか・・・。
しかし、一応礼儀をわきまえている杏子は、
辛抱強く、何か、ヒントはないですか?とたずねる。
「かわいそうな話なのよ・・・。
女の子がたくさん出てきて、みんなとっても貧しいの。
なかなか家には帰れないし、
病気になったり、時には友達が死んでしまったり・・・」
などと、かすかに思い出した話を聞いているうちに、ひらめきが。
ひょっとして、「ああ、野麦峠」では?
ピン・ポン!
私は、この店員さんよりも、お客を身近に感じてしまいます。
私も、時々こういう状況に陥ることがあるんです。
新聞などの書評で、読みたいなと思った本。
きちんとメモすればいいものを、全くのうる覚えで書店に来てしまった。
え・・・? 題名は?著者は?
万事休す。
これでは検索のしようもないではありませんか。
でも、この本のお客のようには、とても恥ずかしくて、
店員さんになど聞けません・・・。
けれど、勉強熱心な店員さんなら、
最近新聞に載った本をチェックしてあるかもしれませんね。
本屋さんには子どものころからあこがれていたのですが、
なるほど、書店にはこんな業務もあるのか・・・と、
いろいろ書店の内情が書かれているのも、興味深く読みました。
今時の書店は、大型化する一方で、
昔のように、個人の「本屋さん」はとても少なくなりました。
本屋さんのお嫁さんになる、なんて夢は、
実際かなり叶いにくい夢になってしまっていますねえ。
この成風堂書店事件メモは、シリーズになっていて、
他にもすでに何冊か出ています。
すぐにでも、続きを読みたいのですが、
まあ、あわてず、次の文庫化を待つことにします。
そういえば、ここに登場する杏子さんや多絵さんなら、
「50円玉20枚の謎」をどう解くのでしょうね?
ぜひ一度はテーマに取り入れて欲しいものです。
満足度★★★★☆
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