映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「銀の匙 2 」荒川弘

2013年03月02日 | コミックス
こんな点数にもならないことに 俺はいったい何日費やしたんだろ。

銀の匙 Silver Spoon 2 (少年サンデーコミックス)
荒川 弘
小学館


            * * * * * * * * *

さて今作の冒頭はとびきり素敵なエピソード。
構内のゴミの山から石窯が出て来ました。
ピザを焼けるかも・・・と八軒がつぶやけば、
周りの友人達は口々に、ピザの宅配に憧れていたというのです。
ケータイは圏外だし、宅配ピザもあるわけない、
そんなところに住んでいる子が多いのです。
そこでつい、皆にピザを作ってやると言ってしまった八軒。
無論ピザなど作ったこともありませんが、
持ち前の学習力で研究。
チーズやベーコン、野菜、すべて学校内で生徒たちが作ったものが持ち寄られます。
その出来栄えは・・・。
う~ん、本当に美味しそうですね。
すべて自家製(小麦粉ですら!)のピザだなんて、なんて贅沢なんでしょう。
それもこれも以前にほんのちょっぴり八軒がお手伝いなどして知り合った人々のお陰です。
人と人とのつながりって大事なんだなあ・・・。
皆の満足そうな笑顔に、八軒も充足を覚えたようです。


そうして、いよいよ夏休みに突入。
八軒はやはり家には帰りたくなく、
御影さんの実家の農場でバイトをして過ごすことにします。
親なんか関係ないと言いながら、
一応家には帰らない旨、母へメールを送ろうとするのですが、
圏外のため繋がらずにじたばた・・・。
そんなところもちょっといい。
そしてここで八軒はまた大きな体験をします。
私達にとっては非日常、残酷なこと。
けれども私達が"命を食べる"以上、
知っていなくてはならないこと、目を背けてはいけないこと。
八軒にとっては非常に大きな試練なのでした。
ひ弱だった八軒が、毎日の運動や実習でどんどん体に筋肉がつきたくましくなっていきますが、
ちゃんと心の方もたくましくなっていくんですね。


さて、八軒はかなりお人好し、というか、頼まれると断れない。
「類まれなる押しの弱さ」といわれる
先日読んだ「横道世之介」くんにちょっと似ているような・・・。
周りの友人達ですら、あいつはお人好しでソンをするタイプ、とささやいています。
けれど本人は全然屈託がない。
こういうふうに育った彼の家庭はそんなに悪くはないのでは?と私には思えるのです・・・。
こんなことに関しても、この先が楽しみですね!

「銀の匙 2 」荒川弘 小学館少年サンデーコミックス
満足度★★★★★


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ローカル (たんぽぽ)
2013-03-03 16:59:13
>りどるさま
ありがとうございます。
機会があれば読んでみたいと思います。
私は北海道に住んでいても、本当に知らないことばかり。
でも作中に登場するローカルな地名などがなんとも嬉しくて、楽しく読んでいます。道東はうちの夫の出身地(でも農家ではない・・・)なので、余計に。
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こんにちは♪ (りどる)
2013-03-03 14:08:40
私もこの作品大好きです。
もしかしたら既にご存知かもしれませんが、
荒川さんのエッセイ漫画「百姓貴族」もお勧めですよ♪
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