スランプの作家の苦悩
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自殺した母親との生活を綴った私小説がベストセラーとなったデルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)。
しかしその後スランプに陥っています。
ある日、熱狂的なファンという女性・エル(エバ・グリーン)が現れ、
デルフィーヌは本音で語り合える彼女に信頼を寄せ、共同生活を始めるまでになります。
ところがエルは、彼女の描くものに辛らつな批評をしたり、
時にはヒステリックに彼女を責めたりし、デルフィーヌは彼女に翻弄されてしまうのです。
しかしそんな中でも、エルは少しずつ彼女の壮絶な身の上を語り始め、
デルフィーヌはその話を小説にしようとしますが・・・。
エルというのは「彼女」という意味で、
変わった名前ねと、始めに出会ったときデルフィーヌは言います。
しかしどうやらこれは本当に三人称の「彼女」で、
実名が出てこないところがミソだったのかと、最後に気づくのです。
わざわざ「その結末」と邦題にあるとおり、
本作は最後の最後に驚くべき結末が用意されているのです。
この二人の女性は、愛憎極まって最後には殺人事件にでもなるのかとずっと思いながら見ていたのですが、
そういうことではなかったのですね。
つまりは、スランプの作家の苦悩と再生。
物語を紡ぐというのは、こんな風な壮絶な体験(脳内体験?)を
経るものなのだということなのかもしれません。
まさに命がけ。
生半可な覚悟で小説なんて書くものではない、と。
<WOWOW視聴にて>
「告白小説 その結末」
2017年/フランス・ベルギー・ポーランド/100分
監督:ロマン・ポランスキー
原作:デルフィーヌ・ドゥ・ビガン
出演:エマニュエル・セニエ、エバ・グリーン、バンサン・ペレーズ、ドミニク・ピノン
サスペンス度★★★★☆
満足度★★★★☆
面白かったです。
ラストのサイン会、作家のメイクを見て「おぉ~!」となりました。
このラストは予測できませんでした~。
面白いものは、いくらでもあるものですね。
だから映画はやめられません!