映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

くれなずめ

2021年12月14日 | 映画(か行)

懐かしくて切なくてむなしい

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松井大悟監督が自身の体験を基に描いたオリジナル舞台劇の映画化。
私の好きな俳優さん目白押しなので、これは見逃せない!というわけで・・・。

高校時代に帰宅部としてつるんでいた6人の仲間たち。
いつもくだらないことをだべっては笑い合っていました。

その十数年後、友人の結婚披露宴で余興をするために、5年ぶりに集合。
本番の余興は、高校時代に文化祭でやった赤ふんどしのダンスで、
だだスベりでなんとも恥ずかしい結果に・・・。
その後、披露宴と二次会の間の妙に長い時間を持て余しながら、
彼らはこれまでのことを思い出します・・・。

えーと、始まってまもなく作中でもネタばらしがありますので、
ここでも秘密を明かしてしまいましょう。
この6人のうちの1人、吉尾(成田凌)は5年前に亡くなっているのです。
けれど普通に余興のためにここに来ていて、他の5人と会話をしている。
5人は彼が亡くなっていることを知っていて、葬儀にも出ている。
けれど、この仲間の集まりで彼がいないなんてあり得ないとでも言うように、
ごく自然に吉尾を受け入れているのです。
本人が「もしかして俺、死んでるんじゃ・・・?」というのにも、
あえて知らないフリ。

この扱いは幽霊ではないですよね。
ここにいるのが当たり前の吉尾を、彼らは本当に見ている。

舞台演出家の欽一(高良健吾)、舞台俳優の明石(若葉竜也)、
後輩気質の会社員大成(藤原季節)、唯一家庭持ちとなっているソース(浜野謙太)、
地元のネジ工場で働くネジ(目次立樹)。
今は職業もバラバラだけれど、いつもつるんでバカを言い合っていた仲間。
その中の1人が今はもういないなんて、未だに信じられない。

懐かしくて、切なくて、むなしい。
相変わらずバカを言って笑い合いながらも、
ときおり蘇るそんな感情を彼らは持て余します。

今後も生きていく限りはこんな思いを何度も味わうのかも知れない。
残された者たちの悲哀というのは、確かにあるものですね。

優柔不断だけれども心優しい吉尾の、
意中の人(前田敦子)のことも、ステキなエピソードでした。

<Amazon prime videoにて>

「くれなずめ」

2021年/日本/96分

監督・脚本:松井大悟

出演:成田凌、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、高良健吾、前田敦子

 

くれなずみ度★★★★★

満足度★★★★☆



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