映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「叫びと祈り」梓崎優

2021年10月17日 | 本(ミステリ)

異国を旅する探偵

 

 

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砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、
スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦…
ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。
選考委員を驚嘆させた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作を巻頭に据え、
美しいラストまで突き進む驚異の連作推理。
各種年末ミステリ・ランキングの上位を席捲、
本屋大賞にノミネートされるなど
破格の評価を受けた大型新人のデビュー作。

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梓崎優さんは、私には初めての作家。
デビュー作なのだそうですが、2010年に刊行されたもの、
ということで、私、かなり出遅れております・・・。

本巻はミステリの連作短編集となっていて、
探偵役となるのは斉木という青年。
彼は、海外の動向を分析する雑誌社に勤めており、
仕事でほとんど年中海外を旅しています。
それも観光地などではなく、かなり辺鄙な場所が多い・・・。

そんな、日本や他の近代化された土地では思いも寄らない、
その土地ならではのことが「常識」となっていることもあって、
行く先々で起こる謎を斉木が解いて行きます。

 

広大な砂漠をラクダで何日も旅したり、
スペインの風車の丘を歩いたり、
ロシアの片田舎の丘陵地帯に出向いたり・・・。
殺人事件が起こるので、牧歌的とは言いませんが、
まるで一緒に旅しているような、旅情漂うステキな描写。
なかなかいい感じ・・・と思いながら読んでいって、
終盤、「叫び」では、アマゾンの奥地に踏み行った時の出来事に凍り付きます!! 
なんと彼は、致死率の極めて高いナゾの感染症に直面することになる。

 

このときの体験もトラウマの一つなのではと思うのですが、
次の最終話「祈り」では、斉木はついに私たちの手の届かないところに・・・。

のんきに読んでいると足下をすくわれる、シビアな物語でもありました。

「叫びと祈り」梓崎優 創元推理文庫

満足度★★★★☆



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