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「クドリャフカの順番」 米澤穂信

2012年05月29日 | 本(ミステリ)
賑々しくも、文化祭

クドリャフカの順番 (角川文庫)
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)


                       * * * * * * * * * 

米澤穂信の<古典部>シリーズ第3作。
神山高校は、文化系クラブの活動が盛んで、
中でも文化祭は4日間を費やして行われるという盛大なものです。
古典部シリーズの第一作「氷菓」は、
この神山高校文化祭の別名"カンヤ祭"の呼び名の由来にまつわるストーリーでした。
そして前作「愚者のエンドロール」は、
この文化祭に出展するための自主映画に関するストーリー。


さて、そして今作は、ようやくその本番。
ホータローたち古典部は文集「氷菓」を販売することにしたのですが、
なんと手違いで大量の文集が届いてしまった。
この文集の山をどうすればいいのか・・・、
とにかく一冊でも多く売りたい。
それが今回の彼らのミッションです。
・・・・おっと、これではミステリになりませんね。
ちょうどこの文化祭で、奇妙な連続盗難事件が発生するのです。
盗まれたのは、碁石、タロットカード、水鉄砲・・・?
この事件を解決し、古典部の名を売れば、文集も売れるに違いない!! 
そう目論んだ古典部が、事件の謎に挑みます。


例によって省エネ少年ホータローは、
ひたすら人気のない部室(地学講義室)で店番をしているのですが、
色々なイベントに出場して古典部のPRを図る里志、
漫画研究会と掛け持ちの摩耶花、
各方面に文集販売を依頼して歩く、える、
それぞれの行動が順に描かれています。
賑々しい文化祭の雰囲気たっぷりで、私は気に入りました!!
料理対決のイベントに挑む3人なんていうのが、すごかったですよ~。
また、普通ではちょっと考えられない、
4階の窓から身を乗り出して大声で里志を呼ぶホータローなどというシーンも見ものです。
ひらすら店番をしていたホータローは、
まるで"わらしべ長者"のように物々交換を繰り返していくのですが、
おとぎ話のように、だんだん高価なものになって行ったりはしません。
でも最後に交換したしょうもないものが、素晴らしく役に立つ。
いやはや、よくできたストーリーです。


「クドリャフカの順番」米澤穂信 角川文庫
満足度★★★★★


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