黒人らしさが足りない、黒人小説家
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黒人の小説家モンク(ジェフリー・ライト)は、
作品に「黒人らしさが足りない」と評され、
半ばヤケになって冗談のようなステレオタイプな黒人小説を書きます。
ところがなんとその小説がベストセラーに。
その本は本名を伏せ、「脱獄囚の黒人」というウソのプロフィールで出版したのでしたが、
思いもかけない形で名声を得てしまうのです。
一言一句選びながら構成を練って仕上げた小説がほとんど売れず、
適当に書いた、いかにもウケそうな小説が売れてしまう。
モンクはこんなことで心穏やかなはずはないのですが、
認知症の母を施設に入れるためにもお金が必要で、
本が売れるのは正直ありがたい。
そんな複雑な状況。
しかも、自身が忌み嫌う「黒人=下品、粗野」という思い込みを
そのまま利用してしまった安っぽい本。
まあこれは、実際に出版業界や黒人作家の作品の扱われ方がこんな風である、
ということを暗に示しているわけなのですね。
いっそ始めから黒人であることを伏せた方が良かったのかも・・・などと思ってしまいました。
それじゃダメなんですけれど・・・。
おまけに、モンクはとある文学賞の審査員に抜擢されたのですが、
その授賞候補に彼のインチキ本「ファック」があがってしまった。
もちろん、モンクはその授賞には反対したのですが、
他の審査員がなぜかそれを推す。
「ファック」なんて言うのは映画などではよく聞きますが、
アメリカの実社会ではほとんど禁止用語。
特に白人の有識者層ではほとんど放送禁止用語なんですね。
だからこの本の題名を付けるときに、
モンクは編集者への嫌がらせのつもりで「ファック」といったのですが、
始め難色を示していた女編集者も最後には承諾。
いかにも黒人作家の小説的題名ということでそれがまた大ヒット。
モンクにとっては何もかもがバカバカしい・・・。
そんな狂騒的な状況を綴ったユニークな作品。
<Amazon prime videoにて>
「アメリカン・フィクション」
2023年/アメリカ/118分
監督・脚本:コード・ジェファーソン
原作:パール・エベレット
出演:ジェフリー・ライト、トレイシー・エリス・ロス、エリカ・アレクサンダー、
イッサ・レイ、スターリング・K・ブラウン
皮肉度★★★★★
満足度★★★★☆
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