オトナか、コドモか
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1970年代アメリカ。
LA郊外の住宅地サンフェルナンド・バレーを舞台とする青春物語。
高校で生徒の写真撮影を手伝っていたアラナ(アラナ・ハイム)25歳。
そんな彼女に15歳高校生のゲイリー(クーパー・ホフマン)が一目惚れ。
アラナを必死で口説こうとします。
自信過剰な15歳男子ゲイリーは、映画の子役を務めたり、広告業をしていたり、
儲け話にはすぐに飛びつくアグレッシブなタイプ。
一方アラナは、自己肯定感低め。
この先の人生のビジョンもありません。
そんなアラナは15歳男子に言い寄られて悪い気はしないものの、
何しろまだ相手は「子ども」の年齢。
何かあれば犯罪になってしまう。
でも、なんにでも前向きに取り組むゲイリーを好きになっていきます。
けれど、恋人にはなれないと思う。
と言うわけで、仲良く共に時を過ごすことが多くはなるのですが、
人には友人とも恋人とも言えない、
宙ぶらりんであやふやな関係になってしまいます。
なぜかこの頃、こういう作品に多く当たってしまう。
高校生と成人との恋。
でもここでもきちんと大人の節度は守られていて(最後の最後は分からないけど)、
ありがたや、良識はまだちゃんと生きている、
アメリカですらも・・・と思う次第。
もっとも、未成年となにかあったら「犯罪」というのは、
近年作られた概念であろうし、それに縛られるのも杓子定規に過ぎる、
という思いも、ないわけではありません。
いやいや、本作のテーマはそんなことではないのですけれど。
つまりは年齢に縛られることなく、人と人の関係は作られるものだし、
必ずしも年上が年下を感化するのではなくその逆もアリということ。
迷って、悩んで、そして自由に自分らしく、
やりたいことをしようよ! ですね。
ムリしても大人っぽくあろうとするゲイリーと
年齢では「オトナ」だけど、しっかり自立のシナリオが立っていないアラナの
コンビネーションの妙。
くすぐったくも、楽しい。
ゲイリー役のクーパー・ホフマンは、
故フィリップ・シーモア・ホフマンさんの息子さんとのこと。
<WOWOW視聴にて>
「リコリス・ピザ」
2021年/アメリカ/134分
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ
青春度★★★★☆
満足度★★★.5
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