息子の新しい親を探す父
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窓拭き清掃員33歳ジョンは、4歳の息子マイケルをひとりで育てています。
不治の病に冒され、余命宣告を受けたジョンは、
養子縁組をして自分が亡き後に息子を託すことができる
マイケルの新しい親を探し始めます。
理想的な家族を求めて、何組もの候補と面会するけれど、
息子の未来を架けた決断を前に進むべき道を見失います。
そんなうちにもジョンの体調は悪化していき、気持ちは焦るばかり・・・。
なにしろ、こんなにも幼い子を残して逝かなければならないジョンに対して、
そして愛するたったひとりの父を亡くすマイケルに対して、
切なさがこみ上げて、ともすると涙が流れ落ちてきてしまいます。
養子縁組の世話をするケースワーカーは、
マイケルに対しても「死」の意味をきちんと伝えるべきだと言うのですが、
ジョンはそういう気にはなりません。
こんなにまだ幼いのに、「死」の意味を知るなんて早すぎると思うのです。
けれど、死んだ虫のことを聞くマイケルに、ジョンは説明を避けることができません。
「養子」ということばを度々聞き、いろいろな人と引き合わされることの意味も
マイケルはわからないながら、何かを感じ取ってもいるようで・・・。
これらのことの説明を、ジョンはしないわけには行きません。
前に進むためのつらい説明・・・。
ところでマイケルの母は、というと、どうも異国の人だったようで、
まだマイケルが赤子だった頃にマイケルを置いて国に帰ってしまい、
今はどこにいるのかもわからず、連絡も取れません。
そんなだから、余計に不憫なんですよねえ・・・。
また、養子を受け入れようとする人々もいろいろな事情があるようで・・・。
もう何人も受け入れている人や、子どもができなかったお金持ち・・・。
結局ジョンは、どの人を選ぶのか。
ついマイケルの親になった気持ちでわたし達も考えてしまいます。
とにもかくにも切ない・・・!
ガラスふきの仕事をするジョンが、家々の窓から中の人々の生活を垣間見て、
ちょっとほっこりしたりするシーンがステキでした。
中にはごく当たり前の親子の何気ないひとときもあり、
けれどジョンは当人たちが気づいていない「幸せ」な時をそこに見出したりします。
でもそれは窓の向こう側のことで、自分のことではないという、これも切ない光景。
秀逸なシーンです。
「いつかの君にもわかること」
2020年/イタリア、ルーマニア、イギリス/95分
監督・脚本:ウベルト・パゾリーニ
出演:ジェームズ・ノートン、ダニエル・ラモント、アイリーン・オヒギンス
切なさ★★★★★
不憫さ★★★★★
満足度★★★★★
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