どの神さまに言ってる?
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1970年に発表された小説「神さま、わたしがマーガレットです」の映画化。
ニューヨークで暮らす11歳少女、マーガレット(アビー・ライダー・フォートソン)。
父の仕事の都合でニュージャージーへ引っ越します。
そこで出会った友人たちと、恋や生理などについて話す、秘密の女子会を結成。
そしてまた、ユダヤ教徒の父とキリスト教徒の母の間に生まれた彼女は、
自身の信仰する宗教についても考えるようになっていきます。
マーガレットは作中で12歳を迎える、日本で言えば小学校6年生の女の子。
生まれ育ったニューヨークからニュージャージーに引っ越すのは、
すごくイヤだったのですが、すぐに親しい友人ができました。
特にナンシーは、ほぼ強引に女の子4人の秘密の会を作り、
好きな男の子の話とか、まだ体験していない生理のこと、
ブラジャーのことなど、ここだけの秘密の話を打ち明け合います。
女の子が大人になるための道のり。
期待、戸惑い、不安、リアルに丁寧に描かれています。
そして本作はそのことだけにとどまらず、
宗教のことに触れているのが特筆すべき所。
マーガレットの父の家はユダヤ教徒。
母の家はキリスト教徒。
母の両親は娘がユダヤ教徒と結婚することに大反対し、
母は、親との縁を切る形で結婚したのでした。
そのような事があったため、マーガレットの両親は家で宗教の話をしないようにし、
そしてクリスマスなどの宗教的行事もせず、
マーガレットが大人になってから自分の信仰を決めれば良い、としたのです。
そういう所は徹底しています。
クリスマスが近づき、近所の家がイルミネーションでキラキラしてきても、
この家にはそういうモノが全くない。
さて、そんなマーガレットは、いつも「神さま、聞いてる?」というように、
心の中で「神さま」に疑問や悩みを語りかけるのです。
では彼女が語りかける、「神さま」とは何者なのか?
これ、欧米の方なら奇異に感じるのかも知れません。
でも、日本人ならぜんぜん疑問にも感じない。
よくあることですよね。
どこのどんな方かは存じないけれど、
でもどこか人知を越えた彼方(あるいはすぐそば)に「神さま」がいて、
私たちの動向をうかがっている・・・と、そのような感覚。
無宗教として育てられたマーガレットが、
妙に日本人っぽくなっているというのが実に興味深い。
でも日本人のすごいところは、特別に信仰していない宗教行事も、
なんのハードルも感じずにスンナリ受け入れて、
クリスマスを祝い、神社にお参りし、お経をありがたがるというところ。
いっそ世界中がこうなら、世の中もう少し平和になるのでは?などと思ったりします。
ともあれ、女の子の成長を描くステキな作品でした。
<Amazonプライムビデオにて>
「神さま聞いてる? これが私の生きる道?!」
2023年/アメリカ/106分
監督・脚本:ケリー・フレモン・クレイグ
原作:ジュデュ・ブルーム
出演:アビー・ライダー・フォートソン、レイチェル・マクアダムス、
ベニー・サフディ、キャシー・ベイツ、エル・グレアム
女子の秘密度★★★★☆
宗教考察度★★★★☆
満足度★★★★.5
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