踏み込まず、会って笑って話せるくらいでいい。
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又吉直樹さんの同名エッセイが原作です。
会うと些細なことで笑い合う、加藤(渡辺大知)と美帆(奈緒)。
傍目にはとても仲の良いカップルに見えるのですが、どうやらそうではないらしい・・・。
加藤は脚本家で、気づけば美帆のことを書いてしまっています。
何やらユニークな彼女のことがとても気になるし、好きだという気持ちは自覚している。
しかし加藤は、美帆に自分の思いを告げることにはためらいを感じているのです。
これ以上踏み込まず、会えば笑って話が出来るくらいの関係が一番いい。
このままでいい、と。
でもそれは、実は加藤が臆病なだけということではないのか。
ストーリーは加藤目線なので、美帆の実のところの気持ちがイマイチ分からないのです。
付き合っているカレシがいて、でもその人とは別れたという。
彼女の仕草や行動は、加藤を嫌っているとは思えない。
イヤ、むしろ好きであるように見える。
ならば、いっそやはり告白をしてみようか・・・。
逡巡する加藤。
ところが・・・!!
やっぱり美帆にとって加藤は楽しく話の出来る友人でしかなかったようで・・・。
男女間での友人と恋人の境目は極めて微妙ですね。
ところが本作、そんな簡単な終わり方をしない。
「えっ?!」と思わせるエンディングに、
様々な疑念がわいてきてしまいます。
この映画のストーリー自体が、加藤の書いたシナリオだったのか?
ということはつまり、美帆は実在しない?
いや、美帆はいるけれど、すべてフィクション?
いやいや、それでもありのままのストーリー?
でも考えてみれば、本作自体がフィクションなのだから、
どうであってもかまわないわけではあります。
そんな中で、自分の思いを口に出せず、友人のままでいるか、当たって砕けるか・・・
そんな逡巡の気持ちは実にリアルに私たちの胸に響きます。
なかなか興味深い作品でした。
<WOWOW視聴にて>
「僕の好きな女の子」
2019年/日本/90分
監督・脚本:玉田真也
原作:又吉直樹
出演:渡辺大知、奈緒、徳永えり、山本浩治、仲野太賀
やきもき度★★★★☆
満足度★★★.5
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