映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

水上のフライト

2021年10月05日 | 映画(さ行)

自分一人の力じゃない

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藤堂遥(はるか)(中条あやみ)は、走り高飛びで世界を目指す女子大生。
ところが交通事故で歩くことが出来なくなってしまいます。
心を閉ざし、自暴自棄に陥る遥を、気分転換に誘ってくれたのは
亡き父の友人・宮本(小澤征悦)。
彼は子どもたちに向けてカヌー教室を開いていて、
遥にも、カヌーをやってみないかと勧めます。
カヌーなら足が動かなくても漕ぐことが出来ます。
子どもたちに混じってカヌーを漕ぐ遥は、久々に笑顔を取り戻します。

そんな折に、宮本は言います。
パラカヌーに挑戦してみないか?と。
すなわちパラリンピックのカヌー競技に出るつもりで
本格的に練習してみないか、ということなのです。

そう簡単に走り高跳びからカヌーへ気持ちを切り替えられない、
と反発する遥ですが、やがて、新たな自分の夢を結んでいきます。

本作は脚本家・土橋章宏さんが、
パラカヌー日本代表選手・瀬立モニカさんとの交流に着想を得て描かれたものとのこと。

作中でも描かれていますが、競技用のカヌーは
バランスをとって浮いているだけでも難しそうです。
まして動かない足で転覆したときなどどうするのだろう・・・と思ってみたり、
その大変さが、身にしみます・・・。

いずれにしても、漕ぐのは一人でも、カヌーの運搬や乗り降り、練習、
すべて人の協力がなくては出来ません。
競技に出ることは多くの人々の支えや協力、そして応援の上に成り立っている。
そのことを身にしみて実感する遥。
実は彼女は走り高跳びをしていた頃、
自分の実力だけがすべてで、他の人は関係ないと思っていたのです。
一段と成長した彼女の姿が、輝かしい。

ただ、これ、パラリンピックの前に見るべきだった・・・。

<WOWOW視聴にて>

「水上のフライト」

2020年/日本/106分

監督:兼重淳

企画・脚本:土橋章宏

出演:中条あやみ、杉野遥亮、大塚寧々、小澤征悦

 

パラ競技への理解促進度★★★★☆

満足度★★★.5

 



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