映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

おとなの事情

2021年10月06日 | 映画(あ行)

秘密は秘密のままの方が・・・

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新婚カップル、
娘の反抗期に悩む夫婦、
倦怠期を迎えている二人、
最近恋人が出来たという独身男。
幼なじみでずっと親しくしている男たちとその妻、7人が集まった
ある月食の夜の出来事。

彼らは座興であるゲームを始めます。
それぞれのスマホのメールが届いたら全員の目の前で開くこと。
かかってきた電話は、スピーカーに切り替えて話すこと。

僕らの間に秘密なんかない。
だから、平気だよね、ということで・・・。

ところが、それぞれの浮気や夫婦間のもめ事、家庭の問題、
次々に彼らの本当の姿が露呈していって、
夫婦仲も友人付き合いも脆くも崩れ始める・・・。

ユーモラスな話ではありますが、いやなんだか笑えない、
修復不能な事態へとストーリーは進んでいくのです。

ところが、思いがけないラストに、唖然とさせられます。

それぞれが抱えている秘密。
本当に互いを大切に思うならば、隠し事なんかするべきではない、
と思いながら見ていたあげくが・・・。
本当は秘密は秘密のままの方がいい。
真実は自分の胸にだけしまっておくほうが、幸せ。
と、そう言っているようでもあるのです。

でも、確かにそのほうが平和ではあるのだけれど、本当にそれでいいのか? 
奥底では欺瞞が渦巻いているこの関係が、本当にいいのか・・・?

ぐるぐると頭の中で考えが巡ります。
単純な笑い話ではなくて、
こんな風にちょっと考え落ちになっているところが、ミソでした。

設定上、この夜は皆既月食なんですね。
その観察会を兼ねての食事会なのでした。
そんな夜に起きた魔法だったのかもしれませんね。

 

<WOWOW視聴にて>

「おとなの事情」

2016年/イタリア/96分

監督:パオロ・ジェノベーゼ

出演:ジュゼッペ・バッティンストン、アンナ・フォッリエッタ、
   アルコ・ジャリーニ、エドアルド・レオ、バレリオ・マスタンドレア

 

秘密度★★★★☆

修復不能度★★★★★

満足度★★★.5

 



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