映画と本の『たんぽぽ館』

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柘榴坂の仇討

2014年10月06日 | 映画(さ行)
良くも悪くも武士の矜持



* * * * * * * * * *

幕末期。
歴史に名高い「桜田門外の変」が発端となります。
彦根藩士・志村金吾(中井貴一)は、
主君井伊直弼(中村吉右衛門)の警護にあたっていました。
しかし雪の降るその日、水戸藩浪士によって井伊は討たれてしまいます。
みすみす目の前で井伊が殺され、
役目を果たせなかった志村への沙汰は厳しく、
切腹は許されず、逃亡した水戸浪士たちへの仇討を命じられるのです。
しかし逃亡した彼らを追うためのろくな手がかりも手段もなく、
無為に月日が流れる。
その間、時代は明治となり、世の中が大きく変わっていく。
人々は髪を切り洋装となり、心までもが変わっていくようだ・・・。


一方、志村が追う水戸浪士の一人、佐橋十兵衛(阿部寛)もまた、
苦しい年月を過ごしていたのです。
その後の時の流れから、井伊の言動は正しかったと思う。
あの時のおのれの行為はなんだったのか・・・。
そして、いつか必ず自分を追う刺客がやってくるはず・・・、
そう思う彼は、人力車の車引として、
ひたすらストイックな生活をし続けていたのでした・・・。


そして、あの時から13年。ついにこの二人が対峙するーーー。



武士の矜持と夫婦愛を描く感動作
・・・ではありますが、
ちょっと出来すぎで、手放しに感動に浸るというところまでは行きませんでした。


そもそも武士の魂ってなんなのかな?
実直。
礼節を護る。
上からの命令には絶対服従。
正直であること。
卑怯でないこと。
・・・もちろん見習うべきいい面もあるけれど、
ある意味自分で考えてないというか、
命の賭けどころが違うというか・・・。
あえて当時の価値観を無視して言っていますが。



少なくとも廃藩置県で藩が消滅となった所で、
このバカバカしい命令はもうご破算だ、くらいのこと考えて欲しい。
そして、妻セツ(広末涼子)もまた、
あまりにも「男」にとって都合が良すぎます。
自分で何も考えてないし。
ただ、ミサンガが切れたシーンではちょっとグッと来ちゃいました(T_T)



以前見た、映画「桜田門外ノ変」は、
事件に加担した水戸浪士を水戸藩自体が許さず、
執拗な追跡をし、抹殺を図るところをクローズアップしていました。
何にしても、襲った方も襲われた方も悲劇。
歴史は多くの血をエネルギーとして作られていくのかも・・・


「柘榴坂の仇討」
2014年/日本/119分
監督:若松節朗
原作:浅田次郎
出演:中井貴一、阿部寛、広末涼子、中村吉右衛門、高嶋政宏
歴史秘話度★★★★☆
満足度★★★☆☆


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