情熱は海を越え、時を超えて
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日本の美を愛し続けた英国人陶芸家、バーナード・リーチ。
明治42年、22歳で芸術の道を志して来日。
柳宗悦、濱田庄司ら若き日本人芸術家との邂逅と友情が
彼の人生を大きく突き動かしていく。
明治、大正、昭和にわたり東洋と西洋の架け橋となった
生涯を描く感動の“アートフィクション”
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バーナード・リーチは明治末期来日し、日本の美を愛し続けた英国人陶芸家。
と言っても私は存じなかったのですが、
原田マハさんが沖亀之助という架空の人物を通して彼を見ることで、
とても身近で魅力的に彼の波乱に満ちた人生を描き出しています。
バーナード・リーチは陶芸家とは言いましたが、
元々はとにかく「芸術家」として日英の架け橋になりたかったようなのですね。
初来日時は22歳。
いかにも希望に燃えた夢見る青年だったのでしょう。
当初はエッチングの技術を日本に紹介したりしたようです。
そしてあることがきっかけで、陶芸に目覚めてゆく。
陶芸については何しろここのところNHKの朝ドラでおよそのところを見てきているので、
その手順などはとても良くわかり、興味深いものでした。
窯焼きにはとてつもなく薪が多く必要なこととか、
下手をすると火事になるとか・・・、
納得。納得。
日本においては陶芸はつまり職人芸で、作者など名の残るものではなかったのですが、
このバーナード・リーチによって芸術としての価値をも求めるようになっていくわけですね。
そして日本の陶芸技術が彼によってイギリスで再生されるというのが又素晴らしい。
また、バーナード・リーチは白樺派のメンバーなどとも交流があり、
日本の新しい文化の中でとても大きな役割を果たしていたということも、
今さらですが覚えておかなくては、と思った次第。
亀之助は作中でバーナード・リーチの弟子なのですが、
数十年を経てリーチと亀之助の息子が邂逅するところは実に感動的です。
実在の人物とフィクションが不自然なく絡み合い、
とても読み応えのあるストーリーになっていました。
「リーチ先生」原田マハ 集英社文庫
満足度★★★★☆
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