映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

犬猿

2020年05月05日 | 映画(か行)

徹底して反発しあうけれど

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見た目、性格が正反対の兄弟と姉妹の物語。


印刷会社の営業マン和成(窪田正孝)は地道でおとなしい性格。
そんなところへ、ムショ帰りの兄・卓司(新井浩文)が転がり込んできます。
卓司は粗暴でいつでもトラブルメーカー。
和成はそんな兄がイヤでなりません。
さて、和成と取引のある下請けの印刷工場。
そこを切り盛りしているのは、頭が良くやり手だけれども容姿にやや難がある由利亜(江上敬子)。
その妹・真子(筧美和子)は美人だけれども余り頭がよろしくなくて要領が悪い。
家の仕事を手伝う傍ら、タレント事務所に所属して女優を目指しています。
この姉妹は互いに自分の持っていないモノが妬ましくて仕方がない・・・。
そして由利亜が和成を好きになってしまうところから、彼女たちの関係が険悪になっていきます。
ついには、壮大な姉妹喧嘩・兄弟喧嘩となってしまい・・・。

友人や恋人なら互いに反目すれば別れてそれで終わり。
しかし家族・特に兄弟というのはそういうわけにいかないですね。
血のつながりというのは断っても断ち切れない。
そもそも兄弟・姉妹というのは生まれてすぐに発生するライバル関係です。
聖書ではカインとアベルの兄弟喧嘩は殺人までに発展する。
これはもう、人類のテーマですね。
だから、彼ら彼女らが反目するのは当たり前なのですが、
しかし、ただ反目だけなのかと言えばそうではない。
どこか愛着があり甘えがあるのですよ・・・。
そこが家族というものでもある。



例えば、和成と真子がそれぞれに自分の兄・姉の愚痴を言っていて、
けれど話し相手が同調して相手の兄や姉を批判し始めると、
それを否定し始めるのです。
いや、それほどひどくもないよ・・・という風に。
なんだかんだ言っても心底否定しきれないというところもあるわけですね。
なんとも微妙な心理。
兄弟姉妹のコンプレックス・愛憎・・・、
そんなところを実にうまく描き出していました。
壮絶なクライマックスと、その後のオチの持って行き方も秀逸です。


<Amazonプライムビデオにて>
「犬猿」
2018年/日本/103分
監督・脚本:吉田恵輔
出演:窪田正孝、新井浩文、江上敬子、筧美和子、阿部亮平、角替和枝

兄弟の相克度★★★★★
満足度★★★★☆



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