ホームズもモリアーティも登場しない・・・?
* * * * * * * * * * * *
シャーロック・ホームズは滝壷に消え、巨悪が動き出す。
モリアーティに接近する、アメリカ裏社会の支配者を追え。
驚愕のどんでん返しが読者を待ち受ける、スリル満載のミステリ大作!
ワトスンによる短編「三つのヴィクトリア女王像」収録!
* * * * * * * * * * * *
アンソニー・ホロヴィッツによる、シャーロック・ホームズ譚。
さてしかし、本作はシャーロック・ホームズとモリアーティが滝壺に消えたという、
その直後から始まっています。
それでそのことを確認に来た、スコットランド・ヤード警部アセルニー・ジョーンズと、
アメリカのピンカートン探偵社調査員フレデリック・チェイスが主人公。
英国の裏社会を牛耳っていたモリアーティ亡き後、
その後釜に座ろうとするアメリカ裏社会支配者の企みを暴こうと奮闘します。
あらら、肝心のホームズもモリアーティも話の中には出てくるけれど、本人は登場しない。
なんだか期待外れといいますか・・・、
面白くなくはないけれどなんだかなあ、と思いながら終盤まで読んでいたのですが・・・。
そこがやはりアンソニー・ホロヴィッツ、最後の最後に驚かされます。
驚きの真相!!!
ああ、だからやめられない。
作中、スコットランド・ヤードの皆さんが大勢登場します。
本家の「シャーロック・ホームズ」の物語の中では、間抜けな捜査と犯人逮捕をして、
無能ぶりをワトスン医師にさんざんコケにされた皆さん・・・。
ここに登場するアセルニー・ジョーンズ警部もそのうちの一人です。
しかし彼はそのことをバネとして、シャーロック・ホームズを心の師として仰ぐようになり、
シャーロック・ホームズ的推理能力を身につけているのです。
なかなか鋭いところを見せる彼を、アメリカの探偵フレデリックも一目おくようになる。
さてさて、ほとんど罠と知りつつも、敵の本拠地に乗り込み、絶体絶命のピンチに立たされるふたり。
こんなスリルたっぷりのシーンもあって、ホームズが登場しなくても退屈はしません。
「モリアーティ」アンソニー・ホロヴィッツ 角川文庫
満足度★★★★☆
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます